中古が嫌いな日本人
2017年4月5日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
日本では、住宅が余っているのに新築住宅が建てられ続けています。
日本における住宅の取引全体で中古住宅が占める割合は、約28%となっているのに対して、アメリカでは70%以上、イギリスでは80%以上が中古住宅の取引ですから、いかに日本では欧米に比べて中古住宅の人気が低く、新築が建てられ続けているかということが分かります。
その結果、住宅は古いものが次から次へと余り、空き家となっています。
その具体的な状況について書かれた記事 を見つけました。
「日本の住宅政策は、少子高齢化や人口の都市集中で大きな曲がり角に立っている。住宅の総戸数は約6060万戸と、すでに総世帯数(約5250万世帯)を大きく上回っている。このため、空き家は年々増え続け、2013年には全国で820万戸と、空き家率(総住宅数に占める割合)は過去最高を更新し続けて13.5%になった。」
ではなぜ、日本人はそれでも中古を嫌い、新築にこだわるのでしょうか。
しかも、このような状況は、住宅に限りません。例えば、自動車についても、新車と中古車の価格差は世界的に見ても圧倒的に大きいのが日本です。
この理由については、住宅だったら新築に有利な税制や住宅ローン、自動車であったら「車検制度」がよく理由としてあげられますが、実際の価格差と減税額や車検費用負担額を考えるとそれが決定的な理由だとは考えられません。
欧米人と比べて日本人がなぜ中古を嫌うのかの決定的とも思える理由を説明している 記事 を見つけましたので、以下に重要な部分を抜き出してみます。
「欧米の住宅が築30年、築50年経っても古く感じられないのは、恐らく、外観デザインと外装の素材が長い間変わらないからではないでしょうか。最近建てられた家も、ずっと前に建築された家も、同様の素材を用いて、同じような外観デザインで建築されていれば、その住宅を古いとは感じないでしょう。そう、定番のデザインがいつまでたっても愛されるのと同じことですね。そして、きちんと手入れをしていけば、古さは風合いや魅力となるに違いありません。」
なるほどなと思いました。
日本の住宅地を見てみると、新しい家と古い家というものが見た目ですぐに分かります。なんというか、モノの古さというよりは、「顔」が古いという感じがすぐわかる。
流行を追いかけるから、その流行が過ぎたら、純粋なモノの古さとは別に、顔の古さが目立ってしまうのです。
それは住宅だけに限りません。自動車に関してはもっと分かりやすいと思います。
ベンツやBMWは、「顔」がずっと同じですよね。
だから、ある程度古い型であっても、古さを感じない。いや、むしろ味さえ出てくるような気がします。
それに対して、日本車はモデルチェンジの度に「顔」自体が変わってしまうことが非常に多いです。
ですから、新しいモデルになると、ひとつ前の「顔」が急に古めかしく、野暮ったく見えてしまうのです。
これは、モデルチェンジのタイミングで、買い替えを起こさせようとする自動車メーカーの経済的な意図が感じられてしまいます。
だから、モデルチェンジが行われたあとの、前の型の中古車の価値が新車に比べてべらぼうに低くなってしまうのです。
これは、「モノ」に対する哲学の問題だと思います。
そして、今後は「環境」の問題にも発展していくものと思います。
流行を作り出し、すぐに陳腐化させ、また新しいものを欲しがらせる。
新興国の発展によって、地球上での資源の奪い合いが始まろうとしている今、このような経済を続けていくことは、不可能となっていくことは間違いありません。
必ず、日本にも「良いもの」を長く使うことの価値が重要視されることが当たり前の時代が来るはずです。