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性善説と性悪説

2007年12月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日も少し触れましたが、私は月一くらいのペースで地元金融機関主催の中国ビジネス関係の勉強会に出席させていただいております。

参加されているのは地元企業で中国に進出されている企業、もしくはこれから進出を希望されている企業の代表者がほとんどです。

ですので、一般的な勉強会よりかなり生々しいことを聞くことができますのでいつも楽しみにして出席させていただいております。

そんな中で今回は中国の税務に関する内容で非常に基本的ですがびっくりする内容でしたので皆さんにお伝えしようと思います。

それは、税務申告についての日本との違いです。

日本は言わずもがな自己申告制です。

ですから企業活動でものの売り買いをする場合売るほうは領収書を発行しますし、買うほうはそれを忘れずにもらい費用計上の根拠とします。

ですから売る企業は、レジからのレシートの発行、もしくは文房具屋さんやいまでは100円ショップなどで白紙の領収書を買ってきて自分で自分の会社の名前を書いて自由に発行しています。

これは、税務当局が日本では企業が基本的にうそ偽りなくしっかりと税務報告してくれるものと信用してそれぞれの企業が自由に発行し、受け取ってという関係が成り立っています。

いってみれば日本の税務は性善説にたっているといっていいでしょう。

しかし、中国では領収書というのは自由に発行できません。

【発票】というものを税務当局から購入して初めて発行できるのです。

いわば事前納税なのです。少しわかりにくいのでここに発票の説明を載せておきます。

1.発票について

(1)発票とは

中国国内の領収書で、国家(税務局)が発行を管理しているものです。

これが、どのように管理されているかというと、

1) 領収書を発行するためには税務局から「発票作成ソフト」「発票作成プリンター」「発票(領収書本体)」を購入します。
2) 発票の発行をすると自動的にオンライン上で税務局に報告がなされます。
3) 税務局は、全ての事業者の発票発行状況をリアルタイムに把握します。
4) お金を支払う側は、この発票をもらわないと損金計上できないことになっています。

そのため、会社対会社の取引の場合、相手側は、ほぼ100%発票を要求します。

逆に、個人が部屋を借りる場合等で、発票を要らないという条件をつけると、割引を受けることができたりする場合もあります。

中国の会計伝票は入金伝票、出金伝票、振替伝票の3種類があり、1ヶ月ごとにファイルします。

伝票の後には関連する発票を添付します。

人民元での支払いであれば必ずこの発票が必要です。

税務調査ではまず、発票が全ての伝票に添付されているか、また発票が有効なものであるかをチェックします。

発票の真偽を判断するのは、かなり困難です。多くの販売業者が存在し、多くの偽造発票が流通しています。

 

(2)発票が不要な場合、割引を受けられることがある?

発票を発行しない売上は、納税せずに済ませることができます。

そのため、売主や貸主等に発票を不要だというと割引を受けられる場合があります。

個人で、何かを購入する場合、発票が不要なことを条件に値段交渉してみると値引きしてもらえる可能性があります。


(3)なぜ、スクラッチカードくじつきの発票があるのか?

個人客を対象とするレストラン等では、発票の発行を求めない個人客がほとんどです。家計に発票の有無など関係ないからです。

税務局は、飲食サービス等の経営者による売上の過少申告に悩まされてきました。

そこで、北京税務局は、個人の顧客にも店に発票の発行を要求させるよう仕向けるために、2002年からくじ付の発票を発行することになりました。

と、こんな感じです。

まさに、性悪説です。

中国の税務当局は企業を信頼していないのです。

ですが、これは北風と太陽の関係です。

説明の中でもあったように、レストランの仮称計上の問題や、中小の商店なんかでは、よく発票を発行しなくてもよければ値段を大きく負けるよ。という文句も多いようですが、これでは、非常に不公平感が出てきますし、なんだか日本人の感覚ですと経済活動が停滞してしまいそうな感じも受けます。

LVの中国語講師も言っておりましたが、やがてこの制度も少しずつ廃止の方向に行くのではとのことでした。

このようなことから始まって中国ビジネスは日本人にとってはスタートの時点から注意が必要なようです。

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