
技術のボトルネック
2013年8月10日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
以前に「テクノロジーの向上とマニュアル能力の衰退」の記事で、「自動車のハイブリッド技術等のハイテク化が進み、自動車修理がもはや部品交換のみとなりほとんど修理工の技術が不要となってしまってきている」と書きました。
金融機関主催の勉強会でハイブリッド車と電気自動車いわゆるエコカーの分解展示技術説明会が開かれるということでしたので、そんなタイミングと興味も手伝って参加してきました。
まずトヨタOBでハイブリッド技術開発を担ったエンジニアである飛田宏さんがハイブリッド技術と電気自動車技術について詳しく説明をしてくださいました。
ハイブリッド車に乗られている方であれば当然知っている知識なのかもしれませんが、私はこの説明を聞いて初めて分かったことがあります。
それは、「ハイブリッド車も基本的には電気自動車と同じで、タイヤを回す機構としてはモーターのみ」だということでした。
ではガソリンエンジンはどのような役割を果たしているかというと、モーターを回すための電気を常に一定以上バッテリーの中に確保しておく必要があるため、発電機としての役割がほとんどだということでした。(もちろん、部分的には動力機構としてもつかわれることはあるようですが)
ということは、基本的にはハイブリッド車はつなぎの技術で電気自動車が最終形であって、リーフを実用化している日産のほうがトヨタよりも先を行っているということなのかという疑問が浮かんできましたので、その点飛田さんに質問してみました。
それに対して、飛田さんは「基本的には動力をモーターにするということに変わりがないのだから、電気自動車に最終的に集約されていくことになると思われるが、ただ、それまでにはまだかなりの時間がかかることが予想される」とおっしゃっていました。
それは、バッテリーの小型化と効率化およびコスト低減がとても難しいという点です。
トヨタが日産リーフのような電気自動車を発売しないのは技術の問題ではなく、コストパフォーマンスの問題だということです。
ちなみに、それはアクアとリーフの価格差を見ればわかります。調べましたら、
アクアの価格帯 170万~190万円
リーフの価格帯 300万~390万円
となっていました。すなわち、最大で200万円ほどの価格差があり、またこの価格差とアクアに乗っているガソリンエンジンの価格との合計額が極端な話、リーフのバッテリーにかかっているコストを吸収するために設定されていると考えられるからです。
リーフの価格はほとんどバッテリーの価格だともいえるかもしれません。
ですので、現在リーフを発売している日産自動車とそれを購入している消費者の双方は、先端技術へのリスペクトと、環境への配慮というある意味精神的な「ベネッフィット」に対するコストをかなり「無理をして」負担しているといえるのかもしれません。
飛田さんが言うには、このバッテリーの技術向上にはコンピューターのビットの世界のようなすさまじいスピードが期待されるような状況には残念ながらないとのことでした。
ですので、ゆっくりとした発展を見守るしか現状はないとのことです。
しかし、このバッテリーの技術向上には自動車のみならず、ありとあらゆる工業分野の期待がかかっているものでもあります。また、やるべきことがわかった時の日本人の底力は今までいろいろな障害を打破してきた実績があります。
ですので、このバッテリー技術の革新的な発展には、大きな期待を持ちたいと心から思いました。