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村上隆の芸術家としての真髄

2016年3月20日 CATEGORY - 代表ブログ

村上隆

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

前回、村上隆の「芸術起業論」についての記事を書きましたが、この本に触発されて六本木ヒルズの森美術館にて行われた彼の個展「五百羅漢図展」に行ってきました。

彼が世界的に評価されている理由を本書において彼自身が以下のように分析しています。

「欧米の芸術の世界のルールを踏まえて作品をつくっているから」

つまり、そのルールに従わないものは、「評価の対象外」となってしまうわけで、実際にその人の能力だとか作品の独創性だとかの深みなどとは全く関係ないところで、NGが出されてしまう現実があるということ、そして、多くの日本人作家はこの関係ないところで勝負をしているということを前回の記事でご紹介しました。

本を読んでいるときには、そのルールというのが漠然としていて、具体的に理解できなかったのですが、実際に森美術館での個展を見て、どんなルールにのとって、どのようにしていくのが評価の対象となるのかがなんとなく分かったような気がしました。

もちろん、ほんの一部ですが。

その一つに「マネジメント力」というのがあるのではないかというのが私の気付きでした。

冒頭の写真は、縦3メートル横25メートルというサイズで、しかもこれと同じ大きさのものが4つですので、横の合計が100メートルというとてつもない大作です。

そして、これらの作品は幕末の江戸の絵師・狩野一信( 1816 ~ 63 )が 10 年の歳月をかけて描いた作品をモチーフとして製作されているのですが、村上氏自身は、わずか1年という限られた期間で完成させています。

この展覧会では、このような動画とともに、制作の様子についても詳しく解説されているのですが、村上氏は、限られた制作期間で絵画を仕上げるため、まず、村上は「スカウト・キャラバン」と呼ぶやり方で、全国の美術大学の学生から制作参加志望者を募りました。

そして、彼らをチーム編成し、24時間シフトを組み、スタジオも50メートルのカンヴァスが並ぶように改装・拡張し、最終的に200人以上ものスタッフが携わりました。

資料ファイルは100冊を超え、使用したシルクスクリーン版は4千枚以上になったといいます。

芸術は自らの作品と一人で向き合う「個人プレー」というのが、日本における一般的な理解だと思います。その考え方を一瞬にして破壊してくれるのがこれらの作品であり彼の手法です。

ビジネスにおけるプロジェクト以上に、マネジメントが徹底されている彼の手法を目の当たりにすると、芸術に対する評価もビジネスの範疇でとらえているということが、村上氏の言う「欧米の芸術の世界のルール」なのかもしれないと思わされました。

 

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