自分の人生に責任を持つ
2016年9月16日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
私は、読売新聞の「人生相談」を欠かさず読むようにしています。
これは、大正三年から脈々と続いている名物コーナーで、様々な専門を持った識者が、読者の人生に関する質問に日替わりで答えていくというものです。
基本的に私はこのような自分自身に対する問題を他人、ましてや自分のことを知らない人に対して質問するという姿勢がとてつもなく、自分の人生に対して無責任だと思うので好きではありません。
ではなぜ、毎日欠かさずこのコーナーを読むのか、それは自分がこの識者の一人だったらどういう答えをするだろうかという仮想返答を頭の中ですることで、様々な専門を持った識者の主張とその自分の仮想返答とを毎日照合することによって、自分の考える軸を固めるのに役に立つのではないかと思っているからです。
代表的な回答者をそれぞれ私の勝手なタイプ分類ごとにご紹介します。
■ バランスのとれた優等生意見
海原純子(医師) 野村総一郎(医師) 大日向雅美(心理学者) 山田昌弘(大学教授) 鷲田清一(哲学者)
■ 本音からズバリ厳しい意見
出久根達郎(小説家) 眉村卓(SF作家)
■ 聞き役に徹する慰め意見
増田明美(スポーツジャーナリスト)
■ 法律専門家からの冷静な意見
土肥幸代(弁護士)
この中で、毎日の照合で最も自分の軸にしっくりくるのが二番目の本音からズバリ厳しい意見の出久根達郎(小説家) 眉村卓(SF作家)のお二人です。
ですが、それらがあまりにも本音ベースで時に辛辣な表現を使ってグイグイ迫ってくるものですから、それに反発もしくは撃沈してしまう相談者も多いのだろうと思います。
そんなこともあり、新聞社の方でも人選時にケアをしているようで、中高生や非常にデリケートな問題を抱えている方の質問には、一番目のバランスのとれた優等生意見の皆さんが担当することが多いような気がします。
しかし、私は、ここに「人に相談する」ということの本質が隠れていると思うのです。
つまり、「人に相談する」ということは、「相談」ではなく「聞いてほしい」だけだということです。
そして、その質問者の多くが、現状の「肯定」や「慰め」を求めているという精神的態度ではないかということです。 そもそも、本当の意味でその問題を解決しようと思っている人は、「人に相談する」のではなく、自らその問題を見出し、自ら解決するはずなのです。
そうです、そもそも、本音からズバリのお二人の厳しい意見というのは、すでに相談者が心の中でうすうす認識している「本来あるべき道」を改めて言葉にして、突き付けることだから、「それに反発もしくは撃沈してしまう相談者が多い」という結果になるのです。
こう考えると、この100年以上にわたって続くこの相談と回答の繰り返しは、その当事者のためになっているのではなく、私のように、それを新聞紙上で遠巻きに見ている者のためになっているのではないかと思ったのです。
自分の人生に責任を持つために、自分の考え方の軸を固めるため活用するというのは、この「人生案内」の正しい活用の仕方であるかもしれないと自信を深めた次第です。