
幸福人フー
2025年8月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。
2025年の「世界幸福度ランキング」で日本は147カ国中55位で、「一人当たりGDP世界ランキング」では38位だそうです。
この差が意外に縮まってきたことを考えていたらかなり微妙な気持ちになってしまって、この「幸福」について考えてみたくなり、「幸福人フー」というへんてこりんなタイトルの一冊の本を読みましたので今回ご紹介します。
著者の坂口恭平氏は、画家で音楽家で建築家という多彩な活動を行いながら、「幸せとは何か」を探求するために路上生活者へのフィールドワークや「死にたい人」たちに自身の携帯番号を公表しその声を聴く「いのっちの電話」などの活動をおこないながら、人生の中で自分自身を「幸せだ」と自認している人を探してきたと言います。
そして、本書のタイトルである「幸福人フー」の「フー」は彼の奥さんでありかつ彼が人生の中で初めて出会った「幸せ自認者」であったそうなのです。
著者の坂口氏は、躁鬱病を抱えていて、躁の時は自分が何物にもなれるような「全能感」を感じ、それによって「不安」を感じることはないが、鬱の時は、それとは正反対でやることなすことすべてを自ら「否定」してしまい、これが大きな「不安」につながってしまうということに悩んでいました。
一方で、奥さんであるフーちゃんは、著者(だけでなく躁鬱の程度に違いはあるにしても多くの人間)が抱えるようなその「不安」という感情自体を持つことがないため、感情に一貫してブレがない、よって、孤独も感じることがない、という意味で「幸せ自認者」であって、この奥さんと出会い、そして生活をする中で、著者はその後、躁鬱病を抱えながらも、自らの上記のような「幸せな人を増やす」活動に向かうことができるようになったと言います。
そして、本書は著者の活動の原点である「フーちゃんの研究」の成果を発表する場とされています。
その研究によって明らかにされた12個の「フーちゃんの特徴」がこちらです。
①「孤独を感じる」といったことが一度もない
➁「寂しい」といったことが一度もない
③「自分は不幸である」といったことが一度もない
④「後悔」をしたことが一度もない
⑤「退屈だ」といったことが一度もない
⑥「つまらない」といったことが一度もない
⑦「虚しい」といったことが一度もない
⑧「人の文句」を行ったことが一度もない
⑨人ともめているのを見たことが一度もない
⑩「人と比べている」のを見たことが一度もない
⑪「一人で」ゆっくりすることができる
⑫「落ち込んでいる」ところを一度も見たことがない
私にはこれを見てまず、「本当かな?」と疑うという心の動きの後すぐに、もし本当のフーちゃんがこの通りの特徴を持っているのなら、それは「人間離れ」しているのではと感じました。
ただ、この「人間離れ」という感覚を正直最初は「違和感」として感じたのですが、次のフーちゃんと著者との間の会話を聞いてからは、その違和感が「悪い」とか「良い」とかいう価値判断とは別の意味での「人間離れ」という感覚に変化しました。
著者「不安を感じないなんていいなあ、俺もフーちゃんみたいに不安を感じなかったら、もっともっと仕事がうまくいっているはずなのになあ」
フーちゃん「不安を感じない代わりかどうかは分からないけど、私は恭平みたいに、あ~、今、むっちゃ幸せ!!!みたいなことも感じないんだけどね、、、」
さらにフーちゃん「でもいいじゃない~。それでいい絵や文章が生まれるんだから。それは恭平にしかできないことだよ~」
(中略)
著者「フーちゃんみたいになりたい」
フーちゃん「(ガハハと笑いながら)恭平が私にもしもなったら、絶対になれないんだけどね、でももしも私になったなら、きっと無茶苦茶退屈して、びっくりすると思うよ。だから、恭平は恭平のままでいいの」
ここで私は「ハッ」とさせられました。
先ほど、「人間離れ」という言葉を使いましたが、人間というのは著者とフーちゃんが両極端にあって、その間のバランスポイントが一人一人で違うだけの存在なのではないかということです。(偏差50が「普通の人」といった具合に)
だからこそ、「悪い」とか「良い」とかいう価値判断とは別のもので、著者のようなクリエーターはやはり心の中に悩みや葛藤があるからこそ、世の中にない作品が生みだすことができるのであり、一方でフーちゃんのようにすべてのものを肯定して、自分のそのままを生きる人は心のバランスを保つことができるということ。
つまり、フーちゃんのような人は常に平均的な幸せを感じやすい(という平均からの乖離)のでしょうが、著者のようなクリエーターは「不安」や「悩み」をモチベーションにすることで世の中にない作品を作り上げることができた時、「今、むっちゃ幸せ!!!」という平均からは考えられない大きな「幸せ」を感じることができるということになるのではないでしょうか。
ただ、常に「幸せ」を自認できるかどうかは、一人一人のバランスポイントがどこにあるのかに関わらず、フーちゃんの特徴の⑩「人と比べない」ということを体得することができるかにかかっているので、どこまで行っても「常時平均幸福人」は世にも珍しい存在でしかないということになりそうです。
でも、それでは社会は回らないので、それ以外のバランスポイントの人は、そういうことなんだということを自認することで、納得して生きていくことがそれなりの「幸福人」になることなのだと思いました。









