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NY地下鉄の治安について

2024年3月11日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

2024年3月7日のニューズピックスの記事に意外な記事がありました。

「アメリカ東部・ニューヨーク州知事は6日、市の地下鉄の警備強化のため警官250人を増員するとともに、750人の州兵も投入すると発表。主要な駅の改札で荷物チェックを行うなどの対策を進める方針です。市の地下鉄では先月も駅のホームで銃撃事件が起き、死者が出ているほか、ニューヨークタイムズによると、今年1月の地下鉄での犯罪件数は去年の同じ時期より45%も増えているということです。一方、AP通信によると、隣接するペンシルベニア州フィラデルフィアのバス停で6日、車から降りた3人がバスに向け30発以上を発砲。乗り込もうとしていた高校生8人がけがをしました。現地では2日前にもバス停で銃撃事件があり、1人が死亡しています。」

この記事がなぜ「意外」か。

私がアメリカに留学したのは1998年でしたが、渡米する前のNYの地下鉄のイメージはまさにこんな感じでした。

私が住むことになったのはNYではなくボストンでしたが、それでもこの写真のようなイメージが強烈に私の脳を支配していたので、空港から一人でホテル(ホームステイ先は大学に行ってから決めることになっていたので)に向かうための地下鉄に乗るのに、とても勇気が必要だったことを思い出したからです。

実際には、ボストンの地下鉄はもとより、NYの地下鉄も1998年の時点ではそんなに危険な場所ではなかったのですが、何のプレッシャーもなく乗れるようになるには少し時間が必要でした。

その後、アメリカの経済は一貫して成長しつづけ(リーマンショックは別としても)、社会は安全になる一方だっただろうと思っていた中でのこのニュースだっただけに「意外」だったのです。

そこで、NY市の年別の治安の状況に関する情報を探したところ、地下鉄に限定したものではありませんがこちらのサイトを見つけました。

◆主要7罪種の犯罪認知件数の推移(単位:件、括弧内:前年比%)

1990年から2000年までの10年間、NY市での殺人事件は2245件から673件となり、実に70%減という非常に大きな治安の改善を見せており、これには1994年から2001年まで市長を務めたルドルフ・ジュリアーニ氏の功績が大きいと言われています。

具体的には、犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする、いわゆる「割れ窓理論」を実践して犯罪率を半減させて全国水準より低く抑えることに成功しました。

彼が市長を退任した後も、2018年までは順調に改善していますが、そこからは一貫して悪化しており、2022年は438件となっています。

そして、「今年(2024年)1月の地下鉄での犯罪件数は去年の同じ時期より45%」ということですから、悪化のペースが上がっていることは間違いありません。

それでも1990年の水準からすれば、まだまだ低い状況ではありますが、この悪化のペースの増悪は非常に気になるところです。

コロナ禍明けからのアメリカ経済に関しては絶好調ぶりの報道が多いですが、それはアメリカ全体が均一に裕福な社会になっているのではなく、とてつもなく裕福な層と経済成長の波に乗れていない貧困層のギャップが大きい格差社会化がどんどん進んでいることの証明になっているのではないかという気がします。

昨今の日本でも社会の豊かさを実感できない中での株高が続いていることから、同じような道を辿らないかと心配になってしまいます。

 

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