アメリカ人の国民性がよくわかる英語 #28
2014年5月10日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 アメリカ人の国民性がよくわかる英語
【著者】 ディビッド・A・セイン
【出版社】 河出書房
【価格】 ¥756(税込み)
【購入】 こちら
この本はかなり前に出版されたものでLVの本棚に埋もれていたのですが、この度、約十年越しに読んでみましたので、今回はこの本の紹介をさせていただきます。
10年前の創立以来、LVで働いたことのある講師の人数を正確に数えたことはないのですがおそらく、50人は超えると思います。
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど様々な国籍を持つ講師を採用してきました。そして、その中でそれぞれの国民性というようなものを「なんとなく」ですが、感じているのも事実です。
そして、その中で一番強烈な国民性を持っていると思われるのは、皆さんご想像の通りアメリカ人だと思います。
いい面も、悪い面(主観的ではありますが)も、とにかく「強烈」だと思います。
私たちがなんとなく感じていた彼らの国民性の背後にあるキーワードはこの本でもしっかり言い当てられていました。しかも、著者はアメリカ人ですから、かなり信憑性があると考えています。
「正義」 「公正」 「自由」 「主張」 「主体性」 「アイデンティティ」 「プライド」 「バイタリティ」
彼らは、これらのキーワードを実現するためにアメリカという「国家」を自らの意志で作り出したという、世界にも稀有な人々の子孫です。
ですから、彼らは常にこれらのキーワードに代表される考え方を「意識的に」大事にしているような感じられます。
「アメリカこそ世界でもっとも理想的な国である。(なぜなら、そのような国をわれらの先祖が、そのような国になるように命を懸けて作り出し、またその子孫である私たちも、それを維持しようと頑張っているからだ)」
ということのようです。このような考えを象徴するようなエピソードがこの本の中にありました。
それは、「Don`t you feel lucky to be living here ?(アメリカに住めて幸運だね!) 」。この発言は、あるアメリカ人が友人のノルウェー人に対して発した言葉らしいのです。
ことあるごとにそのアメリカ人はこのような発言をし、故郷に残っている彼女の家族についてまるで危険な国に住んでいるとでも言わんばかりの質問をするらしいのです。
ノルウェーは民主主義国家であり、充実した保険制度や長期の育児休暇制度などが整っているだけでなく、国民の多くが別荘を所有している世界でも有数の生活水準が高い国なのにです。
もちろん、この発言はアメリカ人全部を代表するようなものではないと思います。しかし、著者は、その根底には以下のような考えが存在しているのではないかといっています。
「現在、ヨーロッパやカナダ、オーストラリア、日本などの国が民主主義をそして自由を享受できるのも、ひとえにアメリカがそれを輸出してあげたからだ。」
「また、もっと言えばアメリカ人は「自由」というものについて、アメリカこそその所有権を持っていると固く信じている。そして、アメリカには、民主主義や自由の概念を世界中に広め、維持していく責務があると本気で考えている。」
ちょっと、空恐ろしいものを感じてしまいました。
この本をにアメリカ人以外の人が書いているならば、半分冗談のように聞けたのかもしれませんが、やはりアメリカ人自身にこのような考察を披露されると、恐ろしいものを感じざるを得ません。
ただ、国民性というのはあくまで「個人」の性質が集まった結果、「なんとなく」感じられるものにすぎません。
著者の考察にかかわらず、アメリカ人が全員がこのような考えを持っているとは言えるわけもありません。ましてや、私たちがいろいろな国籍の人々と一緒の環境で仕事をしていく上では、この「国民性」というバイアスはないほうがいいと思います。
まずはその個人を見ようとする姿勢。これがないと、アメリカ人に限らず、その人の良い面を仕事に活かすことができなくなってしまうという実利的な問題にもつながります。
あくまでも、今回のこの本での考察は数ある中の一つの見方に過ぎないと考えるべきだと、「なんとなく」そっちに流されてしまいそうな自分自身に言い聞かせました。
文責:代表 秋山昌広