英文法を哲学する #279
2022年8月21日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英文法を哲学する
【著者】 佐藤 良明
【出版社】 アルク
【価格】 ¥1,800 + 税
【購入】 こちら
「英文法」というものが日本人の多くに嫌われているという事実は、日本の公教育における「英文法」の取り扱いのどこかに問題があるということを表しているのだと思います。
そのような現実がある中で、もし、この嫌われ者の「英文法」を公教育よりもよりよく取り扱うことで圧倒的に高い確率で日本人に好きになってもらう、またはそこまでいかなくとも少なくとも納得感をもって使えるようになってもらうためには、何かしらの「仕掛け」が必要であることは間違いありません。
私は自らが主宰する「文法講座」を運営するにあたってまずその仕掛けづくりに拘り抜きました。
それは、まるでアメーバーのようにとらえどころのない「英文法」に「一本筋」を通して、最初から最後まで一つの論理で説明しつくすことができるようにしたことです。
もっと言えば、他の人はもちろんのこと、自分自身をも決してごまかさずに「根本原理の追求」をすることでした。
ふと、「根本原理の追求」というワードから、以前に代表ブログで「哲学とは何か」について考えた記事の中で、以下のようにまとめたことが思い出されました。
「哲学とは、そもそも古代ギリシアでは学問一般をさしていたが、近代の諸科学文化によって、諸科学の基礎づけを目指す学問、世界、人生の根本原理を追求する学問となった。」
もちろん、世界や人生などというレベルでの「哲学」となると恥ずかしくて何も言えなくなってしまいますが、少なくとも私は「英文法を哲学」したとは言ってもよいのではないかと自負していました。
その様な自負が少なからずあったからかもしれませんが、本書のタイトルに目が留まらざるを得ず、人生を英語にささげてこられた大英語学者である佐藤良明先生の「哲学」をすぐにでも拝見したいと思い、読み始めました。
本書は、期待を決して裏切らない圧倒的な著者の「根本原理の追求」の結晶であることが分かり、結果、私の「英文法哲学」により一層の幅と深みを与えていただきました。