英語と日本人 #106
2015年4月2日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語と日本人
【著者】 太田 雄三
【出版社】 講談社学術文庫
【価格】 ¥971 + 税
【購入】 こちら
日本人が英語ができない理由についての考察を日本人の英語との付き合いの歴史から導き出そうとする本です。開国後の日本人がどのように英語と付き合ってきたかということについて、実際の事例を多用している点は素直に興味深く、面白い内容となっています。
そして、明治の一時期に「英語名人」が多く排出された理由として、日本語を犠牲にして、高等教育を英語のみで行わざるを得なかった事情に求めるところは、その後その方式をとらなくなったと同時に、日本人の英語力は下がっていったという事実からも非常に説得力があります。
また、その論を展開する論調に関しても、非常に常識的なものです。実際に、本書の最後において解説者も以下のような評価をしています。
「派手な啖呵は切らないが、よく考え抜かれた太田氏のコメントはじゃんじゃんと良識を説いて胸のすく思いである。」
#102「英語支配の構造」#104「英語支配とことばの平等」の著者に対する皮肉ではありませんが、バランスの取れた議論というのはこのようなものを言うのだろうと思いました。
文責:代表 秋山昌広