英語は絶対、勉強するな! #81
2014年10月19日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語は絶対、勉強するな!
【著者】 鄭 讃容
【出版社】 サンマーク出版
【価格】 ¥1,300 + 税
【購入】 こちら
2001年に書かれた本書は、2004年のランゲッジ・ヴィレッジの誕生に非常に大きな影響を与えてくれた本です。
私が米国留学を経て、「日本の英語教育では英語を話せるようにはならない」という問題を再認識し、その原因を「英語を使う環境の欠如」というところに求めつつあった時に、この本から非常に大きな納得を得たことを鮮明に覚えています。
特に次の部分、
「最大のポイントは、外国語も結局は母国語の習得過程と同じ方法でやるべきだということなんだよ。例えば赤ちゃんが言葉を覚えていく過程を考えてごらん。親が赤ちゃんに『さあ、これから言葉を学びましょ』と言って、単語や文法を教え、これが主語、それは動詞で、あれは副詞なんて言うのを見たことがある?」
当時、この言葉に強烈に後押しされ、英語を使う環境の提供というLVのビジネスを立ち上げました。
ですが、10年にわたるLVの運営を経て、私は「この考えは正しくない」という結論に至っています。しかも、非常に大きな確信をもってです。特に、赤ちゃんの件については、別個に ブログ記事 を作って詳細を解説していますのでこちらもご確認ください。
このブログ記事の焼き直しになってしまいますが重要なのでここでも言います。大人は赤ちゃんではありません。大人は、既に分析的能力の習得とともに、「なんとかして母親に自分の欲求を伝えないと死んでしまう」という圧倒的なコミュニケーションの「渇き」を失っています。
そのような赤ちゃんとしての前提条件が存在していない大人に対して、赤ちゃんのように学ぶという方法を提示するのは非常に無責任です。
やはり、大人が外国語を学ぶにあたっては、文法と語彙をきっちり勉強することが近道であることは間違いありません。
にもかかわらず、学校教育を受けただけでは話せるようにはならないのは、それだけで終わっているからです。せっかく、10年間もかけて苦痛を伴いながら蓄積してきた英語知識の上に、まったく「使う」環境が与えられないがために、学校教育は「まったくのムダ」という外観を呈してしまっているのです。
ですから、徹底的に英語を「使う」環境をLVにて提供することによって、学校教育によって文法と語彙をきっちり勉強してきた大人は1~2週間で英語が使えるようになるのです。
この本が韓国と日本において大ベストセラーとなったのは、この両国の人々には著者の批判する「英語をしっかり『勉強』してきている」という前提があったからだと思います。
もしこれが、英語の勉強が制度化されていない、著者の言うような本当の意味で「赤ちゃんのように」まったく英語の知識がない人だらけの国で出版されたのなら、効果はまったくでず、でたらめな本ということで終わってしまったはずです。
このことを私は、実際に10年間のLVの運営の中で、日本人の英語(そしておそらく韓国も)の本質として理解をしました。
ですから、何度も指摘しているように、この本の影響があるのかどうかは分かりませんが、日本の英語教育が極端なオーラル重視とそれに伴う文法、語彙軽視の方向に行ってしまっていることは本当に大きな問題だと思っています。
ただそうは言っても、私のLV創立のモチベーションとして働いたのと同じように、今までの学校教育で文法と語彙のインプットのみに終始して、「まったくのムダ」という認識で終わってしまっている多くの日本人に対して、英語を「使う」ことの重要性を知らしめたという意味で、この本が大きな価値を生み出したことは評価されるべきだと思います。
文責:代表 秋山昌広