英語襲来と日本人 #162
2017年5月1日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語襲来と日本人
【著者】 斎藤兆史
【出版社】 中公文庫
【価格】 ¥680 + 税
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「日本語と英語は構造的にかけ離れた言語なのである。」
このことを前提に考えれば、昨今の流れである「コミュニケーション重視」の名のもとに文法を回避して、九官鳥のような場当たり的な英語教育を行えば、発展性のない見かけだけの英語の使い手を量産してしまう。
逆に、文法をきちんと理解させることで、難解な文章を理解できるようにさせるというかつての文法偏重の英語教育はそこそこ評価されるべき結果を出していたといえるはず。
にもかかわらず、英語が「言葉」である以上、コミュニケーションという目に見える形の成果が出なければ、いっさいの評価をしてもらえない。
これが、日本の英語受容史における評価の現実です。
日本人の英語との初めての出会いから現在に至るまで、それぞれの環境と条件の違いごとに生じる英語との触れ合い方とその習得成果を時系列に見ていくことで、日本人にとって本来あるべき学習の形というものを冷静に認識できるようになっています。
まさに、正論を社会に対して訴えるにあたって、「押してダメなら引いてみろ」の実践ではないでしょうか。
英語教育業界の4人の侍の一人である著者の果敢な挑戦だと思います。
文責:代表 秋山昌広