英語達人列伝Ⅱーかくも気高き、日本人の英語 #313
2024年5月7日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語達人列伝 Ⅱ
【著者】 斉藤 兆史
【出版社】 中公新書
【価格】 ¥840+税
【購入】 こちら
#3「英語達人列伝」が2000年出版で本書が2023年出版ですから実に23年ぶりの続編です。
この23年というのは英語教育業界にとっては本当に激動の時間で、その期間を経て風景は一変したわけですが、同じ著者がほぼ同じタイトル、同じ構成でこの23年の時を隔てて本書を書き上げられたことに大きな意味があると思います。
実際に著者は本書冒頭で次のようにこの23年の時を隔てた理由を述べられています。
「前著は思いのほか多くの方にご愛読いただいた。第二弾を望む声も多数お寄せいただいたが、前作で紹介した達人に匹敵する英語使いや、岡倉天心、斎藤秀三郎のように、物語の主人公としても面白い人物がそうそう簡単に見つかろうはずもなく、続編の執筆に対して二の足を踏み続けた。」
しかし、著者はそれでも前回取り上げられた達人以外にも紹介すべき日本人がいるはずだとの思いの下、改めて日本人にとっての英語学習の手本となるような人物を探し出し、第二弾として本書を執筆されました。
そして、次のように続けます。
「本書が第二弾とはいえ、ここで紹介する達人たちは、前著の達人たちと比べ英語力から見ても日本文化への貢献度から見ても全くそん色がない。達人選抜の重要な基準として、前回同様、基本的に日本で英語を勉強したという点を重視した。あくまで彼らの英語力の基礎は、英語学習に必ずしも適さない日本という土地での工夫と努力によって築かれたものである。改めて書くが、日本人にとって彼らほど格好のお手本はない。」
先ほど私は、「この23年というのは英語教育業界にとっては本当に激動の時間で、その期間を経て風景は一変した」と書きましたが、このような激変した状況だからこそ、日本人にとっての「あるべき英語学習」の絶対に変わらないエッセンス的な部分を私たちに改めて知らしめる必要があると考え、本書をこのタイミングで出版されたのだと確信しました。