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「学ぶ」から「使う」外国語へ #93

2015年1月6日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

学ぶから使う

 

 

 

 

 

 

 

 

【書籍名】 「学ぶ」から「使う」外国語へ

【著者】  関口一郎

【出版社】 集英社新書

【価格】  ¥680 + 税

【購入】    こちら

本書では、日本において「使える英語」を一生の仕事にしようと決意する人間には、それ相当の「悲しい過去」があるということを再認識させられました。

私自身は、自著「富士山メソッド」において詳述していますが、大学生当時、受験勉強を経て、またその受験科目の中でも最大の得意科目が英語であったこともあり、英語に関してはかなりの自信を持っていました。

弟の留学先であるオーストラリアを訪れたときに私の「悲しい過去」が発生しました。マクドナルドで、店員の「For here or to go?」という表現が理解できず、長蛇の列の中で立ちすくみ、後ろの人々に罵倒されてしまったというものです。

6年以上の英語学習を経て、またそれが自分にとって最大の得意科目であったにもかかわらずです。しかし、このショックが、間違いなく私を現在の「使える英語」を日本に広めるという自分の生涯の仕事につなげたのだと確信しています。

著者の留学時代における「悲しい過去」は、私のそれをはるかに超えるすさまじいものだったようです。

「こちらは一応、大学の博士課程まで通った若手ドイツ文学者で、現職の助教授でもあった。初級文法の間違いはしない。ただ、話せない。聞き取れない。(中略)ドイツ語研修のクラスの自己紹介において、考え込んでしまった私に対して、講師の先生は『ご職業は何ですか?』という助け舟を出してくれた。確かに先生は助け舟のつもりだっただろう。しかし、私にとっては泥船に乗って沈め、というようなものである。ドイツ語での自己紹介もまともにできない人間がどうして『大学助教授、担当はドイツ語』といえようか。」

本当にご愁傷様としか言いようがない、、、いや失礼。すさまじい体験をされたものです。よくぞ告白してくださったと感動するくらいにドイツ語教師として勇気のあるものだったと思います。

しかし、このような体験こそが、日本において「使える英語」を一生の仕事にしようと決意させるためにはなくてはならない条件なのではないかと思うのです。

というのも、私たちの以上の経験には次の2つの要素が含まれています。

① その体験までは、体系的な語学学習を十分にしていること。

② ①により形成された自信が、「使えない」という事実によりショックを伴って完全に崩壊させられたこと。

これによって、著者が本書の中で指摘するような「「正統派」と「会話派」がお互いを「ピーチクパーチクの英語」、「実際には使えない英語」と言って無益な言い争いを続けている」ような外国語教育業界の中で、第三の途を提示することができるのではないかと思うからです。

そういう意味で非常に「同志を得たり」と勝手に思わせていただきました。

 

文責:代表 秋山昌広

 

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