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AI翻訳の実用化

2017年5月1日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前に「機械翻訳のいま」という記事を書きました。

その中で、機械翻訳の方式については、文法分析型と対訳(コーパス)型の二つがあって、現在ネット上で無料で使用できるものとしてYahoo翻訳が前者、 Google翻訳が後者の仕組みをとっていることを説明しました。

なお、日本語を英語に翻訳するにあたって、「中間日本語」という日本文を英語の文型に従わせること、および修飾する言葉の対象が明らかになるように並べることによって作られる「英語っぽい日本語」を間にかませるという条件下であれば、圧倒的にYahoo翻訳のほうが使い勝手が良くなるという使用感もあわせてご紹介し、最後に次のような感想を述べました。

「文法分析型機械翻訳と中間日本語の組み合わせが、日本語と英語のような言語距離が離れた言語間の機械翻訳が大きく飛躍するための非常に重要なキーファクターになる予感がします。」

ところがです。

先日(2017年4月22日)、日経新聞電子版に「AI同時通訳 東京オリンピックまでに実用化」というタイトルで次のような内容の記事がありました。

「政府は2020年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、人工知能(AI)を使う同時通訳システムを実用化する方針だ。スマホに日本語で話しかけると、その場で英語、中国語など他言語に訳して音声で出力。相手の言語も通訳してくれる。「ディープラーニング(深層学習)」と呼ぶ最新技術が通訳の精度を飛躍的に向上させており、実用化されれば日本人の外国語への苦手意識解消に役立ちそうだ。」

そして、そのシステムは、私の予感(文法分析型)に反して、対訳(コーパス)型を採用するようなのです。

その理由が以下のように記事では説明されていました。

「米グーグルはネット上で利用できる「Google翻訳」でこの統計翻訳(対訳(コーパス))を使っていたが、これを進化させ、脳の働きを模したニューラルネットワーク(神経回路網)を活用した翻訳アルゴリズムへと昨年後半に切り替えた。文のパーツごとに翻訳するのでなく、文単位で文脈を把握してより適切な訳語を見つける。従来に比べて翻訳エラーを平均60%減らせたという。米マイクロソフトもほぼ同じ時期にネット上で使える「マイクロソフト・トランスレーター」でニューラルネット翻訳を始めた。」

文法分析型機械翻訳と「中間日本語」の組み合わせは、人間と機械翻訳の連係プレーということになるので、最強だと思っていましたが、対訳(コーパス)型機械翻訳と「疑似神経回路」という逆からの人間と機械翻訳の連係プレーによる強力なカウンターパンチが飛んできたといった感じです。

そんなパンチを食らってしまったので、Yahoo翻訳についてもう少し掘り下げようと検索をかけましたら、なんと「Yahoo翻訳サービス終了のお知らせ」と題して、Yahoo!翻訳は2017年6月29日に終了するとの衝撃の報告がなされていたことに気が付いたのでした。

私の予感は、完膚なきまでに叩き潰されてしまいました。(笑)

先日、「AIが書いた新聞記事」においても、AIの進化のスピードに驚かされましたが、まさか「神経回路」という人間らしさの領域にまで踏み込んできているとは、、、本当に恐れ入りました。

記事の最後では、

「手元のスマホが通訳代わりになるのは、外国語が苦手な人にはまさに朗報。国際化への対応という強迫観念にかられて、苦労して外国語会話を学んだり、早期の英語教育の必要性が議論されたりする今の日本の外国語習得をめぐる状況は、同時通訳AIの登場でかなり変わるかもしれない。」

という私たち英会話業界を脅かすような所感まで書かれている始末です。(笑)

しかし、人間と人間とが直接自分の脳によってやり取りをする「価値」は、同時通訳による間接的な意思伝達とは別物だと考えています。

確かに、記事にあるように状況はある程度変わらざるを得ないとは思いますが、逆にランゲッジ・ヴィレッジとしても、このようなAIの成長をよい刺激として外国語トレーニング機関としてより効率的、効果的なサービスを提供できるように成長していくことを宣言したいと思います!

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