
単語帳は例文のみ活用せよ
2025年2月23日 CATEGORY - 日本人と英語
以前にご紹介した「一度読んだら絶対に忘れない英単語の教科書」に関連してですが、昨日著者の牧野智一先生がランゲッジ・ヴィレッジに来てくださって、特別講義(ランゲッジヴィレッジ公式アンバサダーである金谷尚美先生の勉強会)をしてくださいました。
その際に本書ともう一冊「一度読んだら絶対に忘れない英文法の教科書」の二冊をサイン入りで献本してくださり、この二つの内容についてのより詳しい解説をしてくださいました。
ここではその講義における「英単語の教科書」に関する追加情報について書いてみたいと思います。
本書では「単語を一度覚えたら忘れない」ようにするために「have」「take」「make」などの超基本単語の「本来の意味」を抑えることとともに、「語源」を活用しながら英単語を覚える、具体的には「接頭辞」「語根」「接尾辞」ごとの意味・役割を理解させ、それらを含む英単語を覚えやすくするという目的から作られています。
そして書籍紹介ブログでもその取り上げ方が非常に分かりやすい形でまとめられていることを感想として書きました。
ただ、その語源のほとんどは「ラテン語」というそもそも私たちにあまりなじみのないものであるため、まずそちらの理解と記憶に時間と労力を費やす必要があるという意味での困難さは正直あるとは思っていましたが、ご本人もその点についてご自身で「自白」されておりました。
(ただし、それでも一つ一つの英単語、特に使用頻度の低い高レベルの単語の記憶にはその時間と労力をかけてもずっと効率的であることは間違いありません。)
この講義の中ではその語源活用に加えてもう一つ「例文のみを読み込むことでストーリーとして頭に定着させる(暗記する)」という方法を提示されました。
つまり、単語帳のリストの単語そのものには目もくれず、英語の例文を読んでその文の意味全体を記憶するだけというものです。
今までも私のブログ「語彙増強(ボキャビル)」においても例文を重視するの方法については取り上げてきましたが、牧野先生は「単語そのもののリストなんか目も触れる必要はない。なぜなら、ゼッタイに単語だけで覚える(長期記憶する)ことなんか不可能だから」とおっしゃったのです。
その際に、その証拠として出されたのは先生のご友人に「暗記」のギネス記録保持者がいらっしゃるらしいのですが、その方が「(私も含めた)すべての人間は単発のものを暗記(長期記憶)することはできない。暗記(長期記憶)はストーリーとしてでなければ絶対にできない。」とおっしゃっていることです。
ギネス記録保持者がそう言うのであれば、我々凡人がそれをやろうとするなどあまりにも無意味な行いだということを理解する必要があると私も確信しました。
その意味でいえば、例文で覚えさせる単語帳の走りは1992年の「Z会速読英単語」(おそらく私たち世代がその第一期生)だと思うのですが、これは長文にいくつかの単語を織り交ぜているという点で効果性については抜群ではありますが、効率性に少々劣るような気がしています。
その後、リスト的な単語帳の多くが一つ一つのの単語に例文を載せることが当たり前になってきて、効率性と効果性のバランスが取れてきたように思います。
ということは、1992年以前の単語リストのみの単語帳はその意味では恐ろしく「効果性」に欠けるものであり、だからこそ受験が終われば、それで覚えた単語はきれいさっぱり消えてなくなる運命にあったのだと確信しました。
今私自身の頭の中に時間を経たうえで残っているのはすべて「ストーリー」が絡んだものか、「習慣」が絡んだ日々の生活で頻繁に呼び起こす必要のある記憶のみ(電話番号がその典型ではありましたが今は携帯のせいで自宅と会社のものくらいしか残っていません。)だと断言できます。
牧野先生のご指摘はこの当たり前のことを改めて確認させてくださいました。