英語だって変わるんだ
2016年2月12日 CATEGORY - 日本人と英語
先日、書籍紹介ブログで「英語観察学~英語学の楽しみ~」をご紹介しました。
本書は、英語の学習の過程において湧き上がってくる「なぜだろう」という疑問に次から次へとかゆいところに手が届くがごとく答えてくれる優れものでした。
そこで、今回から三回にわたって、私がその疑問解決によって、皆さんの英語学習が健康的に進むであろうと思われる項目をピックアップしていきたいと思います。
まず、第一回目の今回は、「英語における語順」についてです。
私は、自分が主宰する「中三文法を二泊三日で血肉にする文法合宿」において、英語は世界で最も短期間で習得することができるシンプルな言語のひとつであると伝えています。 その根拠がSV SVO(SVOO SVOC)SVCの三つしかない「文型(語順)」の存在です。
これによって、極端に言えば、それぞれの部品の部分に単語を”あてはめる”だけで文章が作れてしまうからです。
一方で、「日本語文法を二泊三日で血肉にする文法合宿」などは絶対にできないと思います。主語や動詞、目的語がどこに来てもかまわないなどと言うあまりに自由奔放な文法があると、学習する側はどうしたらよいか分からなくなってしまいます。
そのような自由奔放な言語においては、その区別をそれぞれの単語レベルで「語尾の変化」(日本語では活用だけでなく助詞の活用も)など、いわゆる活用することで、名詞であれば、これが主語ですよ、目的語ですよ、というような形で区別する文法です。
しかし、本書において、実は英語もその歴史を紐解いてみると、かつては他の言語同様、単語レベルでの語尾の活用が行われてたという説明がありました。 今回はその部分を抜き出してご紹介したいと思います。
英語の変遷としては、
①古英語(450~1100年)
②中英語(1100~1500年)
③近代英語(1500年~)
という流れになっており、古英語においては、文型は確定しておらず、名詞が主格か目的格かが語形の変化で表現をしていました。
中英語になり、名詞の語尾変化がなくなり、その名詞が主語か目的語かを明確に表す方法として、文型(語順)が確立していきました。
一方、発音についてですが、古英語から中英語にかけては、綴り字と発音はほとんど対応していました。しかし、中英語の終り頃に、発音の変化が起こったのですが、綴り字はそのまま使用されたので、近代英語では、綴りと発音が一致しないケースが散見されるようになってしまいました。
今でも時々思い出すのですが、中学に入ったばかりのころ、「autumn」とか「Wednesday」とかをどうやったら記憶できるんだろうと悩んだ記憶があります。
後者の変化は学ぶ側としてはあまりありがたい変化ではありませんが、前者の変化のありがたさは特に英語を教える側としては、それを差し引いても余りある圧倒的にありがたい変化だと思っています。