英語の迷信(天体編)
2022年2月27日 CATEGORY - 日本人と英語
前々回、前回と「英語の迷信 エッセイ事典」の中から私が興味深いと思った英語圏の「迷信」を取り上げてきましたが、今回が最終回です。
最終回で取り上げるのは「星(天体)」に関する迷信です。
数字編の「12」のところでも触れましたが、「占星術」は天体の運行によって人間を含む万物の運命を予見しようとするものであり、「天体」はまさに「迷信」の一大供給源と言えます。
以下に、本書より太陽系内の7つの天体について引用します。
① 太陽(Sun)
「生命の中心的存在であり、創造力を意味する。」
これについては日本の神道における「天照大神」が太陽神であることと完全に一致していることもあり、余計な説明は不要だと思われます。
② 土星(Saturn)
「ローマ神話では農耕の神として崇められた。経験の星。鉛の板に土星の絵を彫って持ち歩くと幸福が訪れると言われ、またそれは安産のお守りにもなった。」
本書の解説をそのまま引用しましたが「経験の星」と言われても意味がよく分かりませんでしたので、もう少し詳しく調べた結果を以下に追加します。
【追加説明】
「17世紀以前の占星術では、天王星、海王星、冥王星はまだ発見されておらず、太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星の7つのみが対象。土星は目視で確認できる惑星の中で地球から最も離れたいわば宇宙の境界線と考えられていたため、土星には『制限』や『限界』のイメージがあり、そこから『時間』や『ルール』という連想がなされた結果、人生における『経験』を示す星とみなされた。」
以下同様に、それぞれ「○○の星」とされている理由について追加説明を加えるものとします。
③ 木星(Jupiter)
「富・栄誉を表す大吉の星。銀板に彫った木星の図は愛をもたらし、サンゴに彫ると魔法を防ぐ力があるとされた。」
【追加説明】
「10天体の中で、木星はダントツに大きな星であり、安定感のある強い光を放つ。そのため木星には、成長や拡張、資産、豊かさといったイメージがあり、『(偉大なる)恩恵』を示す星とみなされた。」
④ 火星(Mars)
「騎士の剣に刻まれ、敵を怖気させる力があると同時に戦いの負傷から免れると信じられた。勇気、力を示す権力の星。」
【追加説明】
「火星は夜空で赤黒く光る様子から争いや戦いをもたらす星とされ忌み嫌われ、闘争心や攻撃性といった意味合いもある。しかし一方で、火星のエネルギーをうまく使いこなすことで私たちの内なる想い、自分の才能や個性を外側へ発揮していくことにつなげることができるという意味で『権力』を示す星とみなされた。」
⑤ 水星(Mercury)
「『神の使い』と考えられ、錫(すず)の板に水星の図を彫って持ち歩くと、希望が叶うとされた。知性や想像力を示す星。」
【追加説明】
「水星は太陽から一番近い星であり、主役である太陽の願いや目標を叶えるために、太陽の意思を火星や木星といった他の星へ冷静に伝える橋渡しのような役割をになうことから、『知性』を示す星とみなされた。」
⑥ 月(Moon)
「率直、親切の意味を表す。銀板に月の絵を刻むと、愉快な気持ちが沸き上がり、病を防げると人々は信じていた。『実り』の星。」
【追加説明】
「月は地球の衛星として地球の周りをまわる10天体の中で地球の一番近くに存在する非常に関係の深い星と言える。占星術では地球からの距離が離れれば離れるほど年齢域が大きい(年寄り)とされるため、月は人間でいう幼児期にあたる。すなわち『素』の状態であり、これから成長を迎える段階であることから、『実り』を示す星とされた。」
古代ヨーロッパ人の想像力のあまりの大きさに脱帽です。