日本人と英語

言語は双子から生まれた?

2019年9月11日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「チョムスキーと言語脳科学」から、いくつかテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマは「言語は双子から生まれたのか」という視点についてです。

前回、突然人間にだけ備わった「生成文法」という能力が、進化論の「選択圧」という環境適応に「有利」「不利」に関係なく起こったものであるというチョムスキーの主張を見てみました。

ただ、その考えに則ると、一つの個体においてその突然変異が起こったとして、その個体はその力を持っているが、言葉は相手がいて初めて成立するので、その性質が人間という種全体に広がっていくことはあり得ないのではないかという疑問が当然にして出てきます。

本書ではその疑問について以下のような仮説を展開しています。

「さて、世界で初めて言葉を話した人類は、周りに話せる人が誰もいなかったはずだ。チョムスキーが言うように、脳に再配線が起こって言語機能を持ったとしても、まわりに言語環境がなければ『オオカミに育てられた子供』のように言葉は話せないではないか。この大問題を解決する一つの可能性を指摘しよう。もし、年の近い兄弟姉妹、特に一卵性双生児で同じ遺伝子の突然変異が共有されたら、言語能力を獲得した子供たちの間で言語が生まれる可能性がある。たとえ、一方の話す詞が不完全だったとしても、子どもは優れた『クレオール化』の能力(このことについては、以前のブログにて紹介済)があるため、他方がより自然な言語に直すことができる。このようにして最初の言語が確立し、さらにその遺伝子を受け継いだ子どもたちが生まれるなら、言語が人類の間で広まっていくだろう。その過程でクレオール化が進んで、世代によって言語の多様性も増すことになるわけだ。実際、双生児の間にはその二人だけで通じる『ツイントーク(独自言語の一種)』が知られている。特に一卵性双生児同市では意志が通じやすいため、一般的な傾向としてどんどん言葉が短くなっていき、親も分からないような会話が成立してしまうのだ。この現象も、クレオール化の一例として理解できる。」

確かに、この指摘を受けて思い当たることがあります。

このブログでも何度かお伝えしているように、うちの三人の子供は三卵性の三つ子なのですが、それでも三人間で通じていて、私たち親には通じない彼らだけの何か共通理解を感じることはあります。

ただ、本書では、それよりもっと踏み込んだ指摘もありましたので併せて引用します。

「双生児では、二人で話し合って考えることがよくあると言うが、それはちょうど自問自答しながら考えるようなものである。すると、たった一人でも思考力が高ければ、自分との対話を通じて新たな言語を生み出せるかもしれない。つまり、言語の起源は他社との会話とは限らず、そうした『内言語(思考言語)』であった可能性もあるのだ。」

う~ん、こればかりは検証のしようがありませんがどちらにしても非常に面白い仮説だと思いました。