日本人と英語

なぜ「~したほうがよい」は「had better」なのか

2021年2月28日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の歴史から考える英文法の『なぜ』」から今までになく多くのテーマをいただいて書いてきましたが、いよいよ第十回目今回が最終回です。

最終回のテーマは「had better」の表現です。

なぜ「~したほうがよい」は「had better」となるのかという疑問は、私が何にでも理由をつけることにこだわって運営している「中学三年分の英文法を血肉にする合宿」の中ですら、文法的に説明することのできない「例外」的慣用句として取り扱ってきた超難題です。

本書は、その超難題にも真正面から取り組んでいますので、その該当部分を以下に引用したいと思います。

ただし、そのままの引用だと、意味が分かりにくいところがありましたので、私なりに自分が納得しやすいように一部修正を加えていますので完全なオリジナルではないことをご了承ください。

「これは次のような言い方から生まれました。中英語の例で見てみます。

Him were betre go besyde.

(John Gower, Confessio Amantis 1390年)

him:ここでは古英語の与格の意味を残しておりto himの意味

were:仮定法過去のwere

betre:better

go:ここでは不定詞 to go=行くこと

besyde:besideでここではgo besideで「脇を抜ける→逃げる」の意味

これは主語を想定しない非人称の構文です。不定詞goが主語の働きをしており、「彼にとっては逃げるのがより良い」という意味です。(現代英語では To go were better for him.)

このような言い方で与格himはその後、近代英語で主格heに変わりました。それは動詞の前に現れることから主語と意識されたからです。そして、wereがhadに変わったと言われているのですが、実はこの理由がよく分かっていないようです。

逆に言えばこの部分こそがこの疑問の根幹なので、このまま説明を終わりにされてしまったら、不完全燃焼感全開といったところですが、本書では以下のような仮説を紹介してくれています。

一つの説として、世界的に有名なデンマークの言語学者イェスペルセンは、このhadは本来wouldの混同から間違って使われるようになったのではないかとも言っています。

なぜなら、he had もhe wouldもくだけた発音では「hi:d」で区別はつかないからです。そのため、本来は「he would better go 」となるべきが誰かが「he had better go 」と誤用したものが固定されてしまったということです。

今では、この成り立ちは忘れられ、had betterは決まった表現と捉えられています。なお、これは you had betterのように相手に向かってyouを主語にして使うと脅しに近い意味になるので注意が必要です。」

そのため、これは参考までにということで、やはり私の講座では引き続き「例外」的慣用句として取り扱っていきます。

 

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