「お土産テーマパーク」の戦略
2015年2月8日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
ランゲッジ・ヴィレッジに全国からお越しのお客様から必ず聞かれるのが富士の名産は何ですか?という質問なのですが、これがまたスタッフとしては答えるのがなかなか難しいのです。
富士市に本社のある和菓子店はありますので、そちらを基本的にはご紹介するのですが、そこの商品が全国的に知れ渡っているわけではなく、また富士市独特のものかというとそうでもないで、お客様としてもなかなか手が出ないというのが正直のところのようです。
その結果、お客様の多くが購入されていくのが静岡県でおそらく最も有名なお土産お菓子である「うなぎパイ」らしいのです。
しかし、静岡県は東西に長く浜松と富士では、東京と富士くらいに距離が離れているので、富士のお土産に「うなぎパイ」というのは富士の住民としてはかなり違和感があります。(ただ、静岡県内の電車の駅、高速道路のサービスエリア等ありとあらゆるお土産屋さんにはおかれており、もはや浜松のお土産ではなく、静岡県のお土産となっているようです。)
そのくらい「うなぎパイ」の春華堂は勢いはすさまじいと言えます。
そんなこともあり、先日、浜名湖周辺に旅行する機会がありましたので、「うなぎパイ」の春華堂さんが新しくつくったスイーツの提案型のスイーツ・テーマパーク「nicoe」に寄ってみました。
上記の写真は、その施設の中にあるレストランです。入場無料のお土産屋さんの施設の中とはとても思えないスタイリッシュな作りになっています。そして、レストランだけでなく、施設内のあらゆるコーナーがデザイン性が高く、あか抜けた感じなのです。
また、春華堂の売り上げの90%を「うなぎパイ」が占めておりますが、それ以外の商品のPRをかなり戦略的にされているように思えました。(実際に静岡県民でも、うなぎパイ以外の春華堂の商品を認知している人は非常に少ないと思います。)
それ以外にも、子供たちにも飽きさせない工夫もされており、親御さんがゆっくり買い物をすることができる仕組み作りもされていました。
たかが、「お菓子」で、失礼、、、ここまでの完成度の高さには驚かされました。なぜ、地方の一、お土産屋さんにここまでのことができるのか、非常に興味がわきましていろいろ調べてみました。
全国の地方名産お菓子ランキングなるものを調べて見ましたら以下のようになっていました。
一位 白い恋人(石屋製菓)
二位 八ッ橋
三位 長崎カステラ
四位 うなぎパイ(春華堂)
しかも、二位と三位は一企業としてではなく、地域商品群全体としてです。これは、八ッ橋や長崎カステラは歴史的な商品であり、一つの企業が作り出したものではないので、それ自体で商標登録できません。それに対して、一位、四位の「白い恋人」と「うなぎパイ」はその企業がゼロから作り出したものなので、その販売を独占することができることになります。
しかも、もう一つこの二つの企業には強みがあります。それは、商品の日持ちです。
調べて見ましたら、賞味期限の短いものから、生八ッ橋10日、長崎カステラ20日、うなぎパイ60日、白い恋人120日となっていました。(以前に石屋製菓さんでは賞味期限の偽装問題が起こりましたが、そんなことしなくても十分条件はよかったはずだと思います。やはり人間の欲は無限なのでしょうか。)
これだけの期間があれば、他の商品に比べて販売計画も立てやすいでしょうし、廃棄は極力少なくできると思います。ですので、利益構造を他の企業と比較して圧倒的に有利なものとすることができると思います。
だからこそ、利益の出ているうちにその構造を確実なものとし、また、一商品に過度に偏った売上構造を修正する努力がこれらの動きなのだと思います。
やはり元気のいい企業にはそれ相応の理由があるのだというのを思い知らされました。