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共通するのは患者自らの病との主体的な戦い

2022年11月27日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2022年11月24日)、テレビ朝日のニュース番組にて、全身の筋肉が動かせなくなる難病ALSに関する以下のようなニュースが取り上げられました。

「全身の筋肉が動かせなくなる難病ALSの患者が『脳波』でロボットを操作し、接客につなげる実証実験が行われました。実験では、ALSの患者が自力で声を出すのが難しくなる前に残していた声のデータからロボットの音声を作りました。ALS患者・武藤将胤さん:『自分の意思を伝えられないもどかしさは想像を絶する過酷さがあります。脳波で会話ができる未来を目指して研究を続けていきます』これまでは目の動きで言葉を選んでいましたが、病気が進むと目も動かなくなることから脳波でも操作できるようにしました。開発者は『患者が寝たきりになっても働き続けられる未来を作りたい』として、接客などへの活用を目指すとしています。」

この記事の中で取材を受けている武藤将胤氏のプロフィールをご紹介します。

「1986年アメリカ・ロサンゼルス生まれ、東京育ち。 大学卒業後、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズで、様々なクライアントのコミュニケーション・マーケティングプラン立案や新規事業開発に従事。 平成25年に難病の筋萎縮性側索硬化症 (ALS)を発症。 一般社団法人WITH ALSを立ち上げる。」

実はこのニュースにすぐに目がいった理由が二つありました。

一つ目の理由は、この病気の最も恐ろしい点が、他者とのコミュニケーションの方法がどんどんなくなっていき、最終的に完全に閉じ込められてしまうことであり、大切なのは患者さんのコミュニケーションの継続させることだということをかつて「トラオ 付随の病院王」を読んでで学んでいたことでした。

そしてもう一つの理由が、この数日前(2022年11月19日)に映画「Back to the future」シリーズで主役をつとめたマイケル・J・フォックス氏が 米映画芸術科学アカデミーによって同氏本人が長年患うパーキンソン病の研究に関する支援活動が評価され、アカデミー賞特別賞「ジーン・ハーショルト博愛賞」を授与したというニュースがあったばかりだったことです。

筋萎縮性側索硬化症 (ALS)とパーキンソン病はどちらも次第に体の自由が利かなくなる病気で根本的な治療方法が確立されていないという点で共通しますが、同じ病気ではありません。

ALSは毎年およそ10万人に1~2.5人に発症すると言われ、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく疾患ですが、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経だけが障害をうけるものです。その結果、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれながらも、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていき、最終的には呼吸のための筋肉の機能不全により、発症から50年以上にわたり研究活動を続けた宇宙物理学者ホーキング博士のような例もありますが、平均期間は3.5年で急速な進行性を持つ病です。

一方、パーキンソン病は、およそ10万人に100人~150人に発症すると言われ、主に脳内でドーパミンを生成するニューロンに影響を及ぼす進行性の神経変性疾患で、震えや四肢硬直、認識機能障害、平衡感覚障害など多くの運動&非運動障害を発症する病気です。発症から10~15年は独立した日常生活が可能でそれ以上では介助が必要となり、15~20年で寝たきりとなり、最終的には全身衰弱と合併症により亡くなります。

前述のようにどちらも難病に指定され、根本的な治療法が確立されていないという点で共通しますが、ALSに比べるとパーキンソン病は、発症率が100倍近くあるものの、進行速度はゆっくりな上、病気の進行に伴って脳内に足りなくなった物質を薬として使用することにより症状をある程度軽くする治療がなされています。

徳田虎雄氏、武藤将胤氏、マイケル・J・フォックス氏の三者に共通するのは、患者自らがこの難病に主体的に戦いを挑みながら大きな成果を上げられているという事実です。

その勇気と努力の継続性に脱帽せざるを得ません。

 

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