グローバル化は制限すべきなのか
2020年5月11日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
新型コロナの世界的猛威によって世界中のサプライチェーンが分断され、製品製造や物流に大きな悪影響が及ぼされていることをもって「グローバル化の限界」や「国内回帰」論が取りざたされることが多くなってきました。
ついこの間まで、あれほどグローバル、グローバルとグローバル対応がすべての企業にとっての生命線だと言わんばかりの勢いだったのにもかかわらずです。
ただ、世界中の国々がここまで鎖国政策をとらざるを得なくなっている現状を見ると、それも一理あるのかと思わざるを得ないと感じることもあります。
しかし、先日(2020年4月21日)の日経新聞電子版の記事にその考えを吹き飛ばしてしまうような記事がありましたのでご紹介します。
「日本電産の永守さんのインタビュー記事」です。
以下に、該当部分のインタビューのやり取りを引用します。
Q:国境をまたいだ企業のサプライチェーンが分断され、グローバル化の限界が指摘されますが。
A:逆だ。もっともっとグローバル化は進む。自国にサプライチェーンを全部戻すのはリスクを増すだけだ。40カ国以上に工場を持ち、リスクを分散したと思っていたが、部品のサプライチェーンまで思いが完全には至っていなかった。猛省している。もう一回コロナ感染が広がったらどうするのかを考え、数年かけて作り替える。
つまり、この発言は、グローバル化自体は今までもこれからもその必要性に変わりはない、むしろもっと進んでいくものと考えており、現在このコロナ禍において、グローバル化の歪が生じているように見えるのは、今までのグローバル化の不完全性からくるものだという主張です。
具体的には、世界中に工場を分散したとしても、それぞれの拠点をしっかりと結びつけるネットワークが機能して初めてそれはリスク分散につながるのであって、このような危機に際してそれらが機能不全に陥るのであれば、それはもともとの設計がリスク分散につながらないような中途半端なものだったと反省するべきだと言うことでしょう。
この世界がそれぞれ一時的に鎖国化しなければならないような現状を見て、「国内回帰」論を持ち出したとしても、日本社会の少子高齢化による人手不足という構造的問題が解決されない以上、問題から目をそらしただけであり、それは単なる無責任な見方と言わざるを得ないからです。
世界シェアナンバーワンのモーター企業のトップとして「もう一回コロナ感染が広がったらどうするのかを考え、数年かけて作り替える。」という具合に明確になされた発言に、私は非常に大きな納得感と頼もしさを感じました。