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21世紀型企業の経営

2014年11月9日 CATEGORY - 代表ブログ

グーグル

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

以前に紹介した「第五の権力」に引き続き、エリック・シュミット氏の書かれた「私たちの働き方とマネジメント」を読みました。

著者は言わずと知れた若きグーグルの創業者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジの二人から大企業へと変貌を遂げたグーグルのかじ取りを任された現グーグル会長のエリック・シュミットとGメールなどのグーグルの主要なプロダクト開発を指揮してきたジョナサン・ローゼンバーグの二人です。

本書は、管理主体であった二十世紀型企業経営と比較してすべてが加速化している状況下における二十一世紀型の企業経営の在り方について、様々な角度から二人の経験に基づいて語るという珠玉の一冊です。

その中で印象的だったのは、二十一世紀型経営にとって格段に重要となっている要素として「スピード」があげられていることでした。

前インターネット時代の企業は「希少性」を前提に事業を組み立てていました。「希少」でありさえすれば、お粗末なプロダクトでも巨額のマーケティング予算にものを言わせて評判をコントロールし、消費者の選択肢を制限して利益を確保していました。

それが、インターネット後には多くのプロダクトがデジタル化し、無料で世界中に送られることになりました。そうなってくると、消費者は「潤沢」な選択肢の中から「最高」のプロダクトのみを選択することが可能となります。

そのことは、製品サービスを作り出す企業側にとっても同じことが言えます。

新製品開発において失敗するコストが大幅に低下することで、新しいプロダクトの構想を描き、作り、少数の消費者相手にテストマーケティングをし、優れた点と改良すべき点を見極め、プロダクトを改良して再び試すことを簡単にできるということです。

このことから、プロダクト開発はより柔軟でスピードが求められるプロセスとなりました。劇的に優れたプロダクトを生み出すのに必要なのは巨大な組織ではなく、数えきれないほどの試行錯誤を繰り返すことであり、プロダクトの優位性を支えるのはスピードだということになります。

著者は、このように「スピード」が何よりも求められる二十一世紀型企業の経営を成功させるためにその経営者がしなければならないこととして以下のように言います。

「上記のプロセスを実行することができる人材である『スマートクリエイティブ』とよばれる人々をひきつけ、彼らが大きな目標を達成できるような環境を与えること」

グーグルが、半分ふざけているのではないかと思えるような遊び心満載の職場作りをしたりすることはまさにそのことの実行なのだと納得できます。

そして、もう一歩進んで次のようなことに言及されたことに衝撃を受けました。

「特に変化の激しいネット業界においては、自分たちの主戦場自体が覆ってしまうようなリスクに正面から向き合う人間が出現できる環境を作ること。」

現在グーグルは自らが主戦場としてきたデスクトップにおける「検索」からスマホやタブレットなどのモバイルにおけるソーシャルへの移行において、まさに大きな正念場を迎えています。

自らの富の源泉自体が犠牲になるような未来への対応を考えることは本当につらいことです。そして、多くの企業の経営者がそれを考えようとしなかったり、考えても、気づかなかったふりをしてしまいがちです。

しかし、組織として「聞かれて嫌な質問」に応えていく姿勢を貫かなければその企業に未来はないのです。

その企業のドンである人が、まさに自社がその正念場を迎えている状況下でその状況を「ぞっと」しながらではなく、「ワクワク」しながら語っていることを見て、その重要性を再認識した次第です。

 

 

 

 

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