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ベンフォードの法則

2022年1月24日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回、「たまたま」という本をご紹介して、「ランダムネス(不確かさ)」の奥深さに触れました。

前回の記事では、「平均回帰」という概念を取り上げて、単なる「偶然(たまたま)」を私たちの「直感」が「必然(やっぱり)」と捉えてしまう危険を取り上げて、私たち人類が長年の進化によって獲得した「直観」が現象の把握という活動の邪魔をしてしまうという現象を確認しました。

今回は、その「直観」の危うさについてより深く見てみたいと思います。

前回取り上げた、

「ある訓練を行う監督だったり教官だったりが、選手や訓練生が失敗したら怒鳴って厳しく指導すればその後いい結果を出す確率が高く、成功した場合に褒めたりするとその後悪い結果を出す確率が高くなるということを自らの経験から絶対のこととして確信していること」

という事例は、極めて俗人的で狭い範囲において「直観」が「ランダムネス(不確かさ)」を「否定」するという事象でした。

それに対して、今回ご紹介する「ベンフォードの法則」は、きわめて一般的で広い範囲において「直観」が「ランダムネス(不確かさ)」を「肯定」しているのに、実際は「ランダムネス(不確かさ)」自体が「否定」されるような事象です。

本書からベンフォードの法則に関する説明部分を引用します。

「1938年にGE研究所の研究者フランク・ベンフォードが対数表を調べている時に次のことに気が付いた。1~9の数は等しい頻度で現れるのではなく、データの中で1が先頭の位にくる確率は約30%、2は約18%、、、9は約5%であり、回の数字にもそれほど顕著ではないが、類似の法則が成り立つ。多くの種類のデータ、特に財政的なデータが、ベンフォードの法則に従っている。実際、この法則は詐欺の捜査で大量の金銭データを調べるのに使われている。」

財政的なデータは、人間のさまざまな活動の結果を数字で集計したものであるため、それは完全な「ランダムネス(不確かさ)」であるはずだというのが私たちの「直観」が訴えます。

にもかかわらず、実際にはこのような法則が成り立つというわけです。

しかも1~9まで順調にその確率が減っているというのは、何らかの意図があるように思えて仕方ないのですが、でもそれは確かにその結果を導こうとする意図のない人間の様々な活動の数字的結果に過ぎません。

しかしながら、このような不思議なことが起こる理由については本書には書かれていませんでした。

仕方がなく調べてみると、このようなウェブページを見つけました。

このページの説明によると、「何らかの上限が決まっていて一様に出現する数の体系」では小さい数のほうが出現する確率が高まるからというのが理由のようです。

つまり、ベンフォードの法則が成立する理由は、人間の活動というのは特定の意図はないものの「上限」が存在していることが多いからということになります。

財務資料のおける予算を例にとると、予算は有限であるため、例えば500万円の予算だった場合にはその支出額の100万の位には6以上の数字が出現しないことになるため、おのずと1から9まで出現確率が低下し続けていくことになるわけです。

ただし、一方で体重のように「上限」があったとしても数の出現が一様でなく、分布が山なりとなり1や2などの小さい数が生じることが少ない体系の場合にはベンフォードの法則は成立しないということになります。

このように見てみると、やはり人間の「直観」ほどあてにならないものはないなと確信せざるを得ません。