
一流の育て方
2016年11月13日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
「教育関連本に書かれていることを真似しても教育に成功することはない。」
このことは、教育関連本が毎年のように出版され続けているのにもかかわらず、教育に成功する家庭が、それにしたがって増加しないという事実からも明らかなことだと思います。
これは、この手の本の著者の多くが教育の研究者ではなく、成功者であることに由来します。つまり、世の中の様々な事例から成功の法則であるとか、逆に失敗の法則を導き出しているのではなく、自らの圧倒的な成功の披露にとどまってしまっているからということです。
それぞれ個別の成功例は、物語としては面白いかもしれませんが、教科書として他の家庭のケースに当てはめるという汎用性は期待できません。
それに対して、本書には、著者自らが成功者であることは事実ですが、膨大な数の家庭教育のアンケートやインタビューに基づいて、共通性を導き出しているという点に他にはない魅力があります。
本書では、さまざまな成功パターンをアンケートやインタビューから抽出しています。あくまでも、それぞれの事例自体はやはり自らの圧倒的な成功の披露に過ぎないわけですが、最近はやりのビッグデータ然りですが、それらを集めて分析すると、非常に有益な傾向というのが見えてくるものだなと思いました。
それらの傾向を言語化しようとすると、次のようなキーワードに収斂されます。
「自主性」「責任感」「知的好奇心」「忍耐力」
つまり、「教育成功パターン」の中には、必ずと言っていいほどこれらのうちのいずれかが絡んでいるという意味で、本書は共通性と汎用性を一定水準有しており、「教科書」と言ってもよいように思いました。
つまり、子供の教育について考えるということは、子供それぞれの個性と置かれている環境とをいかにして、これらのキーワードと結びつけるかということを親なり教師なりが真剣に考えることなのではないかということです。
ただ、ここで教育について真剣に考えれば考えるほど、「自主性」に任せることで糸の切れた凧のようにあらぬ方向に子供が行ってしまい、「忍耐力」のない子供になってしまう危険性をどうとらえるかという問題にぶち当たるはずです。
言い換えれば、「放置」と「放任」の別をつけることが非常に難しいということです。
このことこそ、教育には唯一解がなく、親と子の信頼関係と愛情に基づいた試行錯誤の中でのみ、解が見出されるものなのだという事実を象徴していると思います。
繰り返しますが、教育の成功は、教科書に書かれたような「基本」を外さない前提で、子供の個性と置かれている環境とを常に勘案しながら真剣勝負でその都度対処していくことの積み重ねによってのみ達成させられるということを思い知らされた気がします。