おすすめ書籍紹介

英語で説明する全技術 #303

2023年8月7日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

【書籍名】 英語で説明する全技術

【著者】  齋藤 浩史

【出版社】 秀和システム

【価格】  ¥1,500+税

【購入】    こちら

「英語を話せるようになるために必要なのは、文法、単語、そして最低限必要な発音を鍛えたうえで、会話のトレーニングをすること」

私が今までこのブログで紹介してきた書籍からするとこれはあまりに当たり前なことなのですが、本書はそれらはもちろん必要なこととしつつも、それ以前に日本語を含めた「説明力」が重要だと気づかせてくれる一冊です。

著者はゴールドマンサックス出身であり、その職場経験からこのことの重要性を痛感したと言います。

というのも、ゴールドマンサックスという完璧な英語の使い手がゴロゴロしている職場環境において、社内はもちろんのこと顧客に一目も二目も置かれる最高の英語の使い手は、「スピードがとても遅く、発音がたどたどしく、英語のリズムに乗っておらず、限られた語彙しか持たない」上司だったそうなのです。

自分のほうがずっと発音力や語彙力があるのに、なかなか通じない自分の英語とその上司の英語を比べて、その謎を解き明かしたいという強い衝動にかられた著者が、上司の英語をボイスレコーダーに録音し、何十回も繰り返し聞くことで気づいたのが「大中小の法則」なるものです。

これは、「大(きなこと)」、すなわち抽象的なことから話をはじめ、「中」「小」と三段階で具体的なことに話を進めるという法則です。

著者は「な~んだ、そんなことかとガッカリされた方がほとんどだと思いますが、実際には多くの方がこの法則を実践できていないのです。」と書かれているのですが、正直私もどちらかと言えば、そのガッカリしたくちではありました。

ただ、本書は、この単純な「大中小の法則」をこれでもかというくらいに臨場感をもって披露してくれているので、まるで著者による個人レッスンを受けているような感覚で読み進めていくことができたのです。

最終的には、冒頭で書いた「英語を話せるようになるために必要なのは、文法、単語、そして最低限必要な発音を鍛えたうえで、会話のトレーニングをすること」の前に、このフレームワークを体にしみこませることで、日本語・英語に関わらず、「説明力」を圧倒的に向上させることができると感じました。

ここで、少し脱線にはなりますが、文法、単語、発音が十分であっても「大中小の法則」を全く無視した説明をするとどうなるのか、それがよくわかる動画を最近偶然目にしていましたのでここで共有したいと思います。

この動画では、審査する側が終始寄ってたかってプレゼン者をつるし上げているようでもあり、あまり気持ちのいいものではないことは確かですが、有名大学を卒業して、日本語の文法、語彙、発音はもちろんのこと、知識も十分なのにもかかわらず、一時間というまとまった時間をかけても、その目的である「投資を受けて何をしたいのか」すら全く伝わらないという冗談としか思えない状況が繰り広げられています。

この動画が公開動画であることもあり、「大中小の法則」の重要性を確認できる貴重な素材だと思ったのでここに上げさせていただきました。

ここまでではないにしても、日本人は欧米人に比べて、「説明力」が圧倒的に不足しているのは確かですので、英語学習以前に意識して取り組む価値は高いと思います。