世界銀行勤務から宇宙飛行士へ
2023年2月28日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
本日(2023年2月28日)の読売新聞に「世界銀行勤務から宇宙飛行士へ」という次のような記事を見つけました。
「宇宙航空研究開発機構(JAXA)による新たな宇宙飛行士選抜試験の結果、世界銀行上級防災専門官の諏訪理(46)=東京都生まれ=と、日本赤十字社医療センター外科医の米田あゆさん(28)=同=の男女2人が飛行士候補者として内定した。2人は今後、米主導の有人月探査『アルテミス計画』で月面に降り立つ可能性がある。永岡文部科学相が28日、閣議後記者会見で明らかにした。」
私は中学からは数学が苦手なため完全なる文系人間になってしまいましたが、小学生までは昆虫から宇宙まで自然科学全般に興味を持つ理系オタク少年でした。
以前にもTBSの秋山豊寛さんが日本人初の宇宙飛行士として宇宙へ飛び立った当時の感動と興奮についてはこのブログでも書きました。
この記事のタイトルを読んで、一瞬、「文系人間」しかも「44歳」である私ももしかしたら夢をあきらめなくてもよかったのか?なんて後悔の念も頭をよぎりました。(笑)
そんな思いも手伝って、この二人のうちの諏訪理さんその人への興味がすぐに膨らみ、調べたところ次のような諏訪理氏の「インタビュー記事」を見つけましたのでご確認ください。
まずは、この記事の中で明らかにされているプロフィールを読んですぐに私のそんな後悔の念などまったく無用だったことに気づきました。
「茨城県出身。東京大学理学部卒業後、デューク大学大学院環境学修士課程を経て、プリンストン大学大学院地球科学博士課程修了。Ph.D(気候科学)取得。青年海外協力隊員として、ルワンダの首都キガリにあるLycee de KigaliやKigali Institute of Science and Technology(現The University of Rwanda)理学部でも教鞭をとった。その後、国連JPO派遣制度を利用して応募した世界気象機関 (WMO)を経て、2014年に世界銀行に入行。防災グローバルファシリティにて主に気象・気候・水文サービスの向上を通して防災、レジリエンス強化や気候変動対策に取り組んでいる。」
「銀行勤務」とは言えど、バリバリの理系研究畑出身者です。それはそうですよね。冗談半分とはいえ、一瞬でもそんな思いが頭をよぎった自身の短絡さに恥ずかしくなってしまいました。
そこで実際の宇宙飛行士の募集要項はどんな感じなのか気になって調べましたらこのような記事を見つけました。
「応募条件は以下の二つ。
① 専門性について、3年以上の実務経験、つまり社会で仕事をした経験があること。
② そして医学的特性を有することで身長が149.5~190.5㎝、矯正視力が1.0以上あることなどで年齢や性別も問わない。
これまでは例えば前回13年前はまず学歴の条件があり、理系の4年制大学を卒業していなければならないのに加えて3年以上の実務経験も理系に限られていたが、今回は学歴不問、高卒や中卒もOK。そして実務経験も理系である必要はなくなり、文系もOK。またこの実務経験の内容も問わないということで、派遣社員、自営業などいずれもOK。
これほど条件を緩和した宇宙飛行士の募集は世界でも初めてとのことだが、実際には選考過程で英語や大学の教養課程レベルの一般教養に加えて、国家公務員試験レベルの理科系分野の試験を受けなければならず、理系の大卒程度の基礎知識が必要なのは変わらない。」
それはそうですよね。
「門戸を広げて最終選考で締める」というアメリカの大学の選考方法のような感じで、かえって理系の分野での競争は激しくなったと考えるべきでしょう。
そのような厳しい選考を経て宇宙飛行士に選ばれた諏訪さんですが、このインタビュー(このインタビュー記事は彼がこの募集に応募するずっと前のもの)の中で「宇宙」の話は全くでてこないのがとても意外でした。それでも次のような彼の回答に最終的にこのようなキャリアにつながる「ヒント」のようなものを感じました。
「グローバルで俯瞰的に物事を見て、こういう地域でこういう課題がある、と把握できることがこの仕事の醍醐味ですね。世銀の中外を問わず、専門分野のエキスパートと一緒に仕事ができることにもやりがいを感じています。ただ、世銀のプロジェクトは5年ということが多く、その中で目に見える成果を出すのにはいつも苦労しています。この分野では残念ながら、短期間で目に見える成果を見せるのは難しい部分もあるんです。80才になったときに、最新の科学的知見と技術で新たに作られた『地球大紀行』を見るのが夢ですね。」
その夢の実現に今回のキャリアパスは確実に貢献するものと私も確信しています。