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仕事消滅

2022年7月3日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

このブログでは以前に「10年後に食える仕事、食えない仕事」という書籍を紹介しました。

その中で、人間にとっての「仕事の消滅」が仮に起こってもそれは人間にとっては「ポジティブ」な意味付けをすべきであるという考えを学びました。

ただ、それを人類全体にとっての「ポジティブ」な出来事としてとらえるための準備を今からしておきたいというのもそれが存在していない今現在を生きる人間の正直な気持ちでもあると思います。

そこで、その準備をするために有用な知識を得るためにもう一冊読んでみましたのでご紹介します。

タイトルは「仕事消滅」です。

本書の構成は次の6つの問いに答える形となっていますので、それぞれの章を簡単にまとめます。

1.「いつ、人間の仕事は消滅するのか」

様々な予測がなされているがその範囲は、2025年から2055年までに現在の30~90%の人間の業務が、ディープラーニングというAI自らが学習をする仕組みによってAIによって代替可能となる。その最初が2025年から10年程度で実現する自動運転車の実用化であり、影響を受けるのが日本全国で123万人いるドライバーたちである。ドライバーを皮切りに物理的な体を必要としない業務に関する仕事は必要とされる知識の差に関わらず徐々にドライバーと同じ流れをたどることになる。

2.「なぜ、人間の仕事は消滅するのか」

2030年頃には例えば人間の『上司(管理職)』のように広く深く考え、判断し、指示を出し、社員を評価できる「人間より賢いAI」が活躍する領域がいくつも出現してくる。また、2035年ころにはAIのみでなくロボットによって物理的な体を必要とする仕事も代替可能となる。この時点では、AIには『意識』はないが、『意思』と『能力』は持ち合わせている。このような変化は少しずつしかし確実に起こるのだが、人間はその変化に対して「ただのおもちゃだよ」と過小評価する傾向がある。しかし、残念ながらそのような業界から確実に消滅していく。かつてのフィルムカメラがデジタルカメラに完全に駆逐されたのと同じように。

3.「どの順序で人間は仕事を奪われるのか」

AIとロボットが人間の能力を超えていく順番は、「足」「脳」「腕」「顔(表情)」「手指」となる。2035年の時点では「腕」までが限界であると思われる。2040年以降に残された最後の人間としての仕事の大半は「手指」が必要な単純労働のみに絞られていくようになる。マクドナルドの従業員の仕事のようにマニュアル通りに行うことで任務を達成できる仕事のことを「マックジョブ」と呼ぶが、そのころになると残されたわずかな「マックジョブ」を労働力人口全体が奪い合う時代になるかもしれない。

4.「自分は、そして友人は生き残ることができるのか」

ロボットが人間の仕事を奪おうとしても、そこには一つのボトルネックがある。それはロボットの台数だ。現在の世界人口が75億人、仮にシンギュラリティが2045年に起こるとしてその時の世界人口が90億人だとする。世界中にある自動車工場の生産キャパシティと同じ規模のロボット工場が世界中に建設されたとしても、ロボットの数が人類の人口と同じ90億体になるためには100年かかる計算だ。だとすれば人間とロボットが一緒に働く社会が一定期間生まれる。しかも、ロボットの大半は労働コストが高い先進国で稼働することになる。先進国の多くは少子高齢化による労働人口減少に悩んでいるはずなので、段階的に増えていくロボットの存在はそこまでの脅威ではない。ただし、AIは違う。その意味では、本当に心配すべきは肉体労働ではなく頭脳労働の分野だ。

5.「仕事が消滅していく過程で何が起きるのか」

上記のように、頭脳労働からAIによって仕事が消失し、ロボットの発展に従って少しずつ肉体労働の仕事も消失の方向に向かうが、完全に仕事がなくなるにはまだ時間がある。その過程においてはまず、AIやロボットの存在で生産は現状維持もしくはむしろ増産されるが、それら生産設備を所有し活用できるごくわずかな超富裕層(1%未満)と、それでも残った仕事をこなす労働者層(約50%)と、その仕事からあぶれる失業者(約50%)という社会構造になる。社会全体の富は減ることはなくむしろ増えるかもしれないが、社会の構造としてはこのままだと非常に不安定なものとなってしまう可能性が高い。

6.「未来を幸福なパラダイスにするために何を変えればよいのか」

このような社会は共産主義に近づいていくが、それにはアレルギーを持つ人が多いはず。ただ、私たちが抱く共産主義のイメージは本来マルクスが当初想定した共産主義とは異なるものだ。彼はまず前提として民主主義を確立した上で資本主義による生産手段を獲得し、そのような政治形態の下で資本主義を高度に発展させた先に共産主義が存在すると考えていた。そうなると、生産力を維持しつつ、共産主義を確立するためには、民主的な手法によって、超富裕層(1%)に対する累進的資産課税(*トマ・ピケティの記事を参照)によって吸い上げた富を国民一人一人に分配しつつ、残された仕事を適切なワークシェアによって幅広く労働者層に平準的に提供することで、全ての人々が今よりずっと労働負担から解放されながらも生活するに十分な所得を得られる社会を実現できる可能性がある。そして、全ての仕事がAI・ロボットに奪われ、人間がシェアするワークがなくなった時点でパラダイスは完成する。

ちなみに、トマ・ピケティの累進的資産課税の考え方を突き詰めると、AIとロボット(生産手段)の「国有化」ということになります。

つまり、AIとロボットの存在によって、人類は歴史上はじめて、マルクスが想定したとおりの「民主的な共産主義」を実現する可能性があるということのようです。

このように、本書では「10年後に食える仕事、食えない仕事」で見た内容よりもより論理的に、そしてより具体的にこの問題を検証していました。

それによって、「シンギュラリティ―」以後の世界をかなり具体的に感じることができたような気がします。

どうせなら、上記6「幸福なパラダイス(奴隷のいない「古代ローマ」のような社会)」を実現することができる人類の一員になりたいと思います。

 

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