「置き配」の効用とリスク
2023年9月13日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
「置き配」は2018年にアマゾンが最初に始めたサービスですが、最近ではかなり一般化してきており、私自身もそのメリットを十分に享受しています。
ですが、このサービスは「性善説」にのっとったかなり危なっかしいサービスのように感じられる方が多いのではないでしょうか。
そこで、このサービスに関する法律的なルールおよび現実的な補償体制はいったいどうなっているのか調べてみると、このようなサイトが見つかりました。
要約すればこのようになります。
「置き配の荷物が盗難された場合、宅配業者や荷送人(=荷物を発送する通販会社等)は原則として補償義務を負いません。万一ネットショッピング等で盗難トラブルに遭った場合、利用できるのは各社のサービスとしての補償です。限度額や対応の流れに違いはあるものの、被害を申し出れば、一定の範囲で返金もしくは代わりの物品を発送する等の対応をとってもらえる可能性があります。」
ちなみにアマゾンの補償内容は以下の通りです。(ちなみにchat GPTの回答です。)
「Amazonの置き配で商品が盗難や紛失した場合、Amazonが全額保証してくれます。補償の方法は、同一商品の再配達か商品代金の全額返金です。置き配オプションを指定し、配送状況画面で『お届け済み』となっているのに商品が届いていない場合などは、カスタマーサービスにご連絡ください。」
こちらのサイトによれば、2023年7月時点でアマゾンでの「置き配サービス」の選択率は75%とのことで、アマゾンでこのサービスが実現できているということは、置き配の効用がリスクを凌駕していると考えてよさそうです。
それでは以下に、この費用対効果がどのくらいのものか具体的な数値を見ていきたいと思います。
まず、効用すなわち配送コストの削減に関して、こちらのサイトを見つけました。
このサイトによるとアマゾンが「置き配サービス」を開始した2018年の再配達率は16.4%だったのに対し、2019年は11.2%まで下がっています。(2021年ではさらに7.9%まで下がっていますが、こちらはコロナ禍による在宅率の上昇の原因が含まれると考えられることから無視するものとします。)
これによって、非常に大きなコスト削減効果が見て取れます。
一方、リスクすなわち補償コストの増加に関してですが、残念ながらトラブルによって生じる補償コストの発生に関する正確な数値を見つけることはできませんでした。
ここで私は、この「置き配サービス」が生まれるずっと前から、似たような仕組みで動いているシステムがあることを思い出しました。
そのシステムとは、空港での「バッゲージクレームサービス」の仕組みです。
私は飛行機を利用するたびに、これほど「性善説」にのっとった仕組みはないだろうなという「感心」と「不安」が入り混じった複雑な気持ちになります。
この「飛行機に乗る際に預けた荷物に関するトラブル」に関する数値を挙げているサイトを見つけましたので該当部分を以下に要約引用します。
「航空会社と旅行代理店の業界団体SITAまとめたデータによると、2011年の世界の航空機搭乗人数は28億7000万人でした。また、同年にトラブルが発生した荷物は2580万個となっており、単純計算で1000人に8.99個の割合で荷物に何かしらのトラブルがあった、という結果になっています。実際にどの様なトラブルが起きたのか?という内訳は以下の通り。85.6パーセントが『遅延』で、『破損・損害』が11.9パーセント、『紛失・盗難』が2.5パーセントです。」
つまり、飛行機に乗って荷物が「紛失・盗難」にあう確率は、全トラブル発生確率0.899%の2.5%ですから0.022%ということになります。
同じように「性善説」に基づいた仕組みであるバッゲージクレームの数値を代用せざるを得ず、正確なデータとは言えませんが、その補償コストの増加は非常に小さなものであると推測できます。
「2024年問題」にとどまらず、物流業界の人手不足はもともと大きな問題を抱えてきました。このような「紛失・損害」の具体的な数値を見てみると、物流業界はもっと早く航空業界に学ぶべきだったのではないでしょうか。