司馬遼太郎記念館
2023年10月29日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日、仕事の関係で大阪に行くついでに、ずっと行ってみたかった場所を訪れることができました。
その場所とは、東大阪市にある司馬の元自宅とその隣地に立つ「司馬遼太郎記念館」です。
歴史小説の巨匠である司馬遼太郎の作品との出会いは、私がアメリカ留学した大学二年時でした。
それまで歴史には興味はありましたが、大の小説嫌いの私は「歴史小説」というジャンルも「小説一般」と同一視しており、その素晴らしき世界を自ら開くことはしてきませんでした。
ですが、アメリカ滞在中に、極度の「日本語(特に活字)禁断症状」に襲われた私は、その昔友人から歴史小説、特に司馬遼太郎を一度でいいから騙されたと思って読んでみなと言われたのを思い出し、まず「竜馬がゆく」の全8巻を親に頼んで送ってもらいました。
そこからはもう「司馬遼太郎依存症」一直線でした。
「竜馬がゆく」に続いて、「翔ぶが如く」「菜の花の沖」「坂の上の雲」などの文庫本を次から次へと送ってもらい、アメリカの地で日本の幕末から明治にかけての日本の動乱期の物語にどっぷりつかることになりました。(もちろん、夜寝る前だけで昼間はどっぷり英語に浸かっていました。念のため(笑))
それくらい司馬先生にハマっていたにもかかわらず、なぜか今までこの聖地に足を向けることができずにおりましたが、この度ようやくということになりました。
チケットを購入して入り口に入るとこのような雑木林風の庭の中に遊歩道があり、その小道を進んでいきます。
すると、その遊歩道から司馬先生の亡くなられた日からずっとそのままの状態に維持されている書斎を覗くことができます。
続いて見えてくるのは、このようなセンスのいいリゾート風のお庭です。
そのまま進むと、ご自宅の隣地に建てられた記念館への通路が見えてきます。この記念館、どこかで見覚えのあるような雰囲気の建築だと思ったら、あの安藤忠雄先生の設計だと聞き、納得しました。
中に入りますと、この先生が蒐集した約2万冊の蔵書と先生の全著作の初版本を収める圧巻の本棚に目を奪われます。以前にご紹介した角川武蔵野ミュージアムを彷彿とさせます。(記念館の中では一切写真撮影はNGなのでこの写真はウェブからちょっと拝借しています。)
説明係の方からの情報では、司馬先生の亡くなられた時点での蔵書はなんと6万冊。当時そのすべてが自宅の中に収められていて、廊下や玄関を含むあらゆるスペースが本で占領されていたようです。
そのうちの2万冊をこの記念館の本棚に移し、残りの4万冊はまだ自宅の中にあるそうです。それらはもちろん歴史に関するものが多いですが、その分野が言語、文化、人口、風俗、産業など非常に多岐にわたっていることに驚かされました。
今では知らない人はいない「坂本龍馬」が、司馬先生の「竜馬がゆく」が世に出るまでほとんど知られることのない存在だったという話は結構有名ですが、竜馬をはじめ、本来世に広く知られるべき何人もの大人物を歴史の狭間から掬い上げた司馬先生の偉業は、この圧倒的に膨大な量の資料との格闘によってはじめて成立しているのだということを実感させられました。