
最高でないと最低に感じてしまう日本人
2012年8月26日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
昨日土曜日の朝、阿川佐和子さんの朝の番組「サワコの朝」にとても珍しい方が出てらっしゃったので出がけに見入ってしまいました。
日本文学を含めた日本文化研究の第一人者、ドナルド・キーンさんです。
彼は、東日本大震災のあと、日本国籍を取得し、日本を終の棲家とすることを決めたことでニュースにもなりましたのでご存知の方も多いと思います。
実は彼については、私たちが提唱する「しなやか英語」の逆バージョン「しなやか日本語」の使い手として非常に興味を持っていました。
ご本人には申し訳ないですが、彼の日本語は決して「日本人みたい」に聞こえるような日本語ではありません。
しかし、彼の日本文化への造詣は普通の日本人が比較にならないほど素晴らしいものでしょうし、「日本人みたい」に聞こえるような日本語ではないですが、コミュニケーションとしては全く問題ないものです。
「日本人みたい」に聞こえるような日本語をはなす外国人はたくさんいますが、彼ほど、日本人を深く理解して、それについての考えを我々日本人にはない視点から的確に解説してくれる人は少ないと思います。
コミュニケーションの本質はまさにそこにあると思います。
「日本人みたい」に聞こえるような日本語や、アメリカ人みたいに聞こえる英語に、本質があるのではないということです。
そのような日本語で今回彼が阿川さんに語ったことで、興味深かったことは、阿川さんが「日本人を本当に高く評価してくださっているキーンさんが思う、日本人の良くないところは何ですか?」という質問に対して彼は、
「日本人は本当に素晴らしい点が多い人々ですが、ひとつあげるとすると何事にも「極端」なところだと思います」
とおっしゃいました。
続けて、「今の日本は景気が悪いと言われますが、他の国と比較してまだまだ豊かです。なのに、最高でないと『最低』だと思ってしまうのが日本人だと思います。」と言われたのです。
なるほど!と思わされました。
これは、日本人を知り尽くした、元外国人にしか見いだせないポイントではないでしょうか。
最高でないと最低に感じてしまう日本人、出がけで時間がない私の心にグサッと刺さる一言でした。