歴史問題の正解
2021年4月2日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
日本は大東亜戦争はもちろんのこと、秀吉の朝鮮出兵などかなり古い時代にまでさかのぼるような問題も含め、多くの歴史問題を今に至るまで抱えています。
この問題が「今に至るまで続いている」ということについては、問題の捉え方の整理が必要だと思われます。
というのも、1952年に日本と連合国48カ国の間で締結されたサンフランシスコ平和条約によって、連合国(および日本の占領によって被害を受けた)国の日本への戦後補償請求権は放棄されることとなりました。
また、日韓併合によって連合国側ではなく、日本の一部であったとみなされた朝鮮半島については、厳密な意味での「戦争賠償」ではなく、植民地支配に関する補償として、1965年に結ばれた「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」において、日本が大韓民国に対する1080億円の経済援助金を支払うことによってその請求権が放棄されたものとされました。
ですから、日本が主張するように「戦争賠償」という意味では歴史問題は「解決」されたと言えることになります。
しかし、現実には従軍慰安婦の問題、徴用工の問題、南京大虐殺の問題等、数限りない「歴史問題」を日本が現在進行形で抱えているというのは紛れもない事実です。
主張する相手が存在する限りにおいては、「歴史問題」そのものは存在し続けていると言わざるを得ません。
では、この日本が抱えてしまっている「歴史問題」は永久に解決されないのか、それとも何らかの方法で解決することができるのか。
この疑問に対する答えを探すために「歴史問題の正解」という一冊の本を読んでみましたのでご紹介します。
本書には、第二次世界大戦の日本の敗戦によって、戦勝国(主にアメリカ)の思惑によって実際にあった「事実」がゆがめられたり、場合によっては存在しないものとされてしまったことについて、できる限りのエビデンスに基づいて指摘しています。
例えば、有名な話ではありますが、ユネスコの世界記憶遺産に登録されてしまった「南京大虐殺による30万人の中国側の死者数」があります。
これについては、そもそも当時南京の人口は多く見積もっても25万人しかなく、その数自体があり得ないのですが、そのあり得ない数字は、アメリカの原爆投下が日本を降伏させるためにやむを得ないものであったとするプロパガンダによって作られたものであり、その証拠に30万人という数字が広島と長崎の犠牲者20数万人を少し上回るものだという指摘です。
そのアメリカの作ったあり得ない数字を当時の当事者であった国民党政府(現在の台湾)ではなく、現在の中国の統治者である共産党が利用しているという構図だというのです。
本書の文章は、よくある陰謀論のそれにあるような感情的なものではなく、できる限り文献にあたったかなりの説得力のあるものではあるのですが、でもやはり100%「事実」であることまでを明らかにしているとも言い切れない限界を感じました。
そこから私たちが得られる「歴史問題の正解」とは、「事実」は基本的には勝者が作り出すものであるし、その恣意性を完全に排除することはできないが、それでもできる限りの資料から他の見方を見つけ出す努力をして、その恣意性を和らげることかもしれません。
それほど、勝者が作り出してしまった「歴史」は重いということである一方、「歴史の正解」を求めるということは今を生きる私たちが新たに歴史を作り出す時の姿勢に影響を与えるということだと思います。