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なぜ日本では電柱の地中化が進まないのか

2022年11月18日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ここ30年間、他の先進国がインフレに悩ませられながらも大幅に賃金を上げてきている中で、日本は唯一賃金が上がらず、またここのところ追い打ちをかけるように急激に進んだ「円安」で、日本が相対的に「貧乏」になったと実感することが多くなってきました。

私がアメリカ留学した1990年代後半には1ドル100円でざっくり換算してもおつりがきていたわけで、なんとも隔世の感があります。

とはいえ、まだまだ日本の経済力が今よりもずっと力強かった当時にも、実際にアメリカで生活する中でほとんど「唯一」と言ってもよいと思いますが、日本が貧しく感じられることがありました。

それは、冒頭の写真と次の写真を比べていただくとよく分かると思います。

そうです。電柱と電線の有無です。(それともう一つ商業看板の差にも同様の感情を持っていました。)

いや、中心市街地と郊外の違いがあるからフェアじゃないって?

ではこれではどうでしょうか、言い訳のしようがないでしょう。

以来、私は先進国の様々な都市の風景の映像に触れる度に日本の景観の「貧困さ」を突き付けられるような感覚を覚えてきました。

先日(2022年10月27日)、まさにこの「日本と世界の電柱の地中化のスピードの差」に関する記事がありましたので以下に記事を要約します。

「国土交通省によると、日本の電柱地中化トップの東京23区で『8%』、2位の大阪市は『6%』特別区・政令市で5%に達しているのは、ほかに名古屋市だけ。残りは1~3%台でしかない。それ以外の市町村になると、兵庫県芦屋市のように市道の14%以上を無電柱化した例外があるものの、大半はほとんど手つかずに近い状態だ。これに対し、海外の主要都市はロンドンやパリ、シンガポール、香港が既に100%に達しているほか、台北も96%まで整備が進んだ。このような彼我の違いの理由として考えられるのは、『今でも日本では電柱の本数が増えている』ことだ。2021年度には全国で20万5000本が撤去されたが、新設されたのは25万3000本。差し引き、4万8000本が増えた計算になる。というのも日本の道路は幹線を除き、幅員が狭いため、管路を埋設するために用地確保が必要になる場所が少なくない。しかも、国や地方自治体が財政難に苦しむところへ高コストが重くのしかかる。このため、国や自治体の動きはどうしても鈍くなる。このペースで整備をしたとするとすべてが無電柱化されるのは『1500年先』になる。第2次世界大戦後、東京や大阪と同様にロンドンも焼け野原から復興を始めた。東京や大阪が低コストを優先し、電柱を建てて電気や電話線を通したのに対し、ロンドンは戦前から電線を地下に埋設していたこともあり、無電柱化の道を選んでいる。そこに見えるのは『景観に対する意識の差』だ。」

このペースでは「1500年先」ですか、、、

この記事の前半では日本の現状の原因は「コスト」にあるとしていますが、最後にあるとおり、第二次世界大戦を経て東京や大阪と同様焼け野原となったロンドンが「100%」を達成していることから、コストは直接的な理由にならず、兎にも角にも原因は彼我の「景観に対する意識の差」だという指摘は悔しいけれどもその通りと受け入れるしかありません。

「侘び」とはつつましく、質素なものにこそ趣があると感じる心のことで、「寂び」とは時間の経過によって表れる美しさを指すわけですが、自らを「侘び寂び」の国ニッポンと自負する私たちは間違いなく顔を洗って出直す必要があると思います。