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円安に泣く外交官

2022年11月18日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

今年に入ってからの急激な円安について、7月の時点でこのブログでも取り上げましたが、その後一時150円を超えるまで進みまして現時点で140円前後となっています。

そんな中でこの円安の恐ろしさを実感させられる記事が「AERA.dot」にありましたので以下要約します。

「この円高に悲鳴を上げているのは庶民だけではない。外国のセレブたちと交流し、優雅な生活を送っていると思われていた海外の在外公館に勤める外交官たちも生活が成り立たない状態になっているという。アジアのある国の在外公館に勤める外交官は言う。『在外公館職員の手当は日本円が基準なんです。現地の物価はどんどん上がるし、インターナショナルスクールの学費もドル払いでドル建ての口座の残高が無くなり、外交以前の問題として、生活が成り立たないです。その上、海外の企業幹部と夜に食事をすると、今の世界的な物価高では一人5万円ぐらいかかることもあります。でも、日本の一般的な外交官で、一人5万円の経費が出る人はほとんどいません。参加を断れば、人脈構築や情報収集に支障が出て国益を失する。苦しくても自腹で払うしかありません。外国人におごってもらうと賄賂を受け取っていると思われてしまうからです。この出費に悩んでいる外交官は少なくありません。』外務省によると、在外公館職員の給料は大きく分けて二つある。一つは基本給。これは、日本国内にある口座に日本円で支払われる。もう一つが在外基本手当で、日本で暮らすのと同様の生活環境や水準を維持するために支給されるが、これは日本円で定められており、現地通貨の“手取り”は為替の影響を受けてしまう。さらに、毎月の支給額をいくらにするかは、昨年度の為替レートを参考にしてあらかじめ決められているためこの円安は彼らの手取りを直撃する。」

私はこの記事を読みながら肌感覚での「共感」にとどまらず「既視感」すら覚えました。

それは、今から15年も前の2007年、ヨーロッパ視察にスイスと英国を訪れた時の記憶がよみがえったからです。

その時のことは当時のブログ記事「スイス・イギリス視察旅行」に私は次のように書いていました。

「それにしても両国ともスイスフラン高、ポンド高が激しすぎる!日本が一番物価高なんて思っていたらとんでもない目にあいました。ジュネーブ、ロンドン内では金銭感覚的には日本の2~3倍の感覚に感じました。(大げさではないです)コーラを一本買うにも、真剣に悩みました。(笑)」

そこで2007年7月の現在のスイスフランとイギリスポンド・アメリカドル相場とビッグマックの価格を調べてみました。

(*ヨーロッパにおける2007年のビッグマック価格が分かりませんでしたのでインフレ率を便宜上アメリカと同一と仮定しています。)

◆2007年7月

1スイスフラン(=100円)ビッグマック(=4.16スイスフラン)→416円

1イギリスポンド(=250円) ビッグマック(=2.30ポンド)→575円

1アメリカドル(=118円) ビッグマック(=3.3ドル)→389円

◆2022年7月

1スイスフラン(=147円)ビッグマック(=6.5スイスフラン)→956円

1イギリスポンド(=167円) ビッグマック(=3.59ポンド)→600円

1アメリカドル(=140円) ビッグマック(=5.15ドル)→721円

ちなみに日本のビッグマックは2007年から現在まで人件費や家賃にあわせた「地域別価格制度」によって変わらず「330~400円」となっています。

このように見てみると、2007年の時点ではマクドナルドのような基本的に価格が全国一律な店においては、イギリスで1.7倍、スイスで1.3倍だったわけで、私が感じた「日本の2~3倍」の感覚」というのは実は少々誇張が過ぎるようにも感じます。

ただ、両国とも首都であるロンドンとジュネーヴに滞在し、せっかくだからとマクドナルドのようなグローバルな店は敢えて避けていたこともあり、余計にそう感じたのかもしれません。

逆に言えば、今現在はマクドナルドのような店ですらイギリスで1.8倍、スイスにいたっては2.9倍ですので、同じ行動をしたらと想像しただけで恐ろしくなります。

しかもアメリカは2007年の時点でほぼ日本と同一水準だったのが、今では二倍以上ですから。

日本が一番物価高なんていつの時代のことやらといった感じで、もうとっくに「日本は安すぎる国」に成り下がってしまった事実を突き付けられました。

外交官に限らず海外勤務の日本人の皆さんのご苦労は察するにあまりあります。

 

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