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ハンマーとダンスとは

2020年5月18日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

フランス人ジャーナリスト トーマス・プエヨ氏が、強制的な抑制策とその後の段階的な緩和策の有効性を分かりやすく説明した「ハンマーとダンス」という2020年3月20日の記事が話題になっています。

この記事を日本語に翻訳して公開したのは、「スカイプ英会話」を初めてビジネス化されたレアジョブの創業者 加藤智久氏です。

ちなみに、レアジョブさんは、恐縮ながら私が英語教育ビジネスにおいてランゲッジ・ヴィレッジが運営する「国内留学」と同等もしくはそれ以上に信頼できると評価している会社さんです。

加藤さん、本当に分かりやすい翻訳をありがとうございました。

この記事からすると「ハンマーとダンス」とは以下のような戦略ということになります。

「ロックダウンのような強力な対策(ハンマー)により感染者を徹底的に減少させた後、緩やかにウイルスと共存する期間(ダンス)に移行する対新型コロナウィルス戦略である。『ハンマー』により初期段階で流行を確実に抑える。これによって、マスクや人工呼吸器を確保し医療崩壊を防ぐ『時間』を作り出すことができ、その後、社会は徐々に経済との両立を図るべく、外出制限の緩和をし、経済活動を再開する。これが『ダンス』である。その際徹底するべきは、感染者と感染経路を把握することで感染者が少数である内に濃厚接触者を特定、感染者を隔離し、再び『ハンマー』を実施せずとも感染者の発生をコントロール下におくことである。」

初期段階で英国やアメリカはこの政策をとりませんでした。
 
特に英国は「集団免疫」を獲得すべく「何もしない」政策を実行しようとしましたが、大きな痛手を負い、抑制策に切り替えることになりました。その後、ジョンソン首相自らも感染者となってしまったのは記憶に新しいと思います。
 
また、アメリカの状況は、現在世界最悪の状況となってしまっています。
 
その一方で、日本は「ロックダウン」といった強制的な方策をとることができない法律的制約があり、あくまでも「自粛」をベースとする抑制策(ハンマー)をとりましたが、なんとかギリギリのところでバランスをとることに成功し、現時点で39県において「緊急事態宣言」を解除するまでに状況が改善しています。
 
これは、日本がダンスの期間に入り始めたということかもしれません。
 
日本のこの状況は、大きな代償を払わなければならなくなった欧米諸国からするとあまりにも少ない代償でこの「ハンマーとダンス」戦略が実現できていると映るはずで、それが「PCR検査を敢えて抑制し感染者の数を誤魔化しているのではないか」といったような疑念を持つことにつながっているようです。
 
ただ、日本の公式なコロナ関連死者数、および超過死亡者数(公式な死因に関係なく今年の全死者数を例年と比較して導かれる死亡者数)のどちらも、低く抑えられていることからその疑念は妥当ではないことは明らかです。

しかも、実は日本の専門家会議は、トーマス・プエヨ氏がこの論文を書かれた3月20日よりも一か月も早い2020年2月23日の段階でこの論文に挙げられている以下のチャートを使用しながらこの方式(抑制策は強制的でないにしても)をとっていたということは私たち日本国民は知っておくべきでしょう。

 

 

この日本の状況は、先日の「日本の新型コロナ対策が評価されない理由」の記事であげているように、一般的な日本人の行動の規律性や生活習慣の衛生的レベルが欧米のそれと比べて圧倒的に高いということによって実現されていると捉えるべきではないでしょうか。

このダンスの期間、記事で指摘されるように、

「感染者と感染経路を把握することで、感染者が少数である内に濃厚接触者を特定、感染者を隔離し、再び『ハンマー』を実施せずとも感染者の発生をコントロール下におくこと」

で第二波、第三波を凌げることを切に祈ります。

 

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