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マウンティング大全

2024年6月12日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

「謙虚」が旨の日本人にあって、最近は相手に対して自信が優位な立場であることを誇示することを意味する「マウンティング」という言葉が幅を利かせているようです。

そんな「マウンティング」にフォーカスした「人生が整うマウンティング大全」なる本を読んでみました。

「本当にそうかな?」と思いながら読み始めたのですが、「自分は○○ですごいだろう」と直接的に自慢するということだけでなく、フェイスブックやインスタなどSNSに「特別」な写真を上げることも立派な「マウンティング」であり、その意味では日本中でマウンティング合戦が日々繰り広げられていると言えるようです。

本書の趣旨は、「マウンティング」はもはや人間の行動をデフォルトで支配するものであり、だからこそそれを自分らしく満ち足りた人生を送るために必要な「教養」もしくは「ツール」だと捉え、活用する能力(マウンティングリテラシー)を高める方法を伝授することだと言います。

ちょっと逆転の発想過ぎて、初めは引きそうにもなりましたが、読みはじめると非常に面白く、最後まで一気に読んでしまいました。

感想を一言で言えば、まさに「毒をもって毒を制する」とはこのことかと。

本当に感心してしまいました(笑)。

また、「大全」と銘打っているだけあって、「マウンティング」に分類される表現の範囲は本当に幅広く、私自身、このブログでいろいろな書籍や記事を紹介すること自体、立派な「マウンティング」であると自覚せざるを得ず、最初こそこそばゆい思いを禁じ得なかったのですが、結局、「資本主義」の本質が「差異性」である以上、私たちは原理的に、「マウンティング」を空気を吸うのと同じようにしていくしかない運命にあると気づかされていきました。

本書の本来的な目的は、他人にマウンティングと気づかれないような形でマウンティングする「ステルスマウンティング」などの高等テクニックや相手のマウンティング欲求を満たすため知識を披露することだとは思いますが、私としてはそれ以上にマウンティング自体をそのまま受け入れられるようになったことが大きいと感じました。

そもそも、このことは日本人が基本的に「謙虚」だからこそ、このような「差異性」の表示を「マウンティング」として分類するのであって、外国人、特に欧米人にしてみれば、自らが他の人と異なる何らかの「性質」「才能」「興味」を持っていることを表示するのはいたって当たり前のことであるわけです。

それを「毒」のように感じる私たちが「特殊」であると改めて認識できたのは、本書がありとあらゆる「マウンティング」を分類・提示してくれたからだと思います。

それでも、もしあなたがデフォルトで「謙虚」な日本人として、このこそばゆさから逃れきれないようであれば、こう思うのはどうでしょう?

「マウンティング」は、それを「毒」ではないとの建前の上で提示するから「毒」になるのであって、そもそも「毒」であることを自覚した上でそれを提示するのであれば、それはもはやそれは「毒」ではなく「ギャグ(コミュニケーションスパイス)」的な役割を果たすのだと。

これこそ、最強の「マウンティングリテラシー」かもしれません。

とにかく勇気をもらえる一冊でした。

 

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