
海外で最後に求められる「主観的判断力」
2025年7月13日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。
前々回、前回と「海外で結果を出す人は異文化を言い訳にしない」に関連したテーマで書いてきましたが、第三回目の今回でいよいよ最終回です。
海外で結果を出すために必要な要素として、第一回目では日本語英語を問わずコミュニケーションにとって必要な、そして第二回目では英語でコミュニケーションをとる際に留意すべきことについてと、いずれにしてもそもそも分かり合うことが困難な海外でのビジネスだからこそ「コミュニケーション」の重要性について見てきました。
最終回の今回は、それら「コミュニケーション」の重要性を抑えた上で、最終的に「結果を出す」ために何が必要なのかについて見ていきます。
その何かとは、「主観的判断力」だと著者は言います。
以下に、その「主観的判断力」に関する本書の主張をまとめます。
企業である以上、事業の最終決定は本社が行います。
そして、当然ですが本社は個別の海外事業所の事情を詳細まで把握しているわけではないので、「基本的」には、その判断は各所から上がってきた客観的な情報を精査して判断するのが一般的なプロセスになりがちです。
ですが、一方で海外のような不確実性の高い市場では、目に見える形で上がってくる「客観的情報」をもって理詰めで考えても結論が出せるものではないというのが実情でしょう。
そもそも、リスクが高い海外事業を遂行する上で「客観的情報」だけでしか判断できないというのなら、初めからそのような市場に出ていく資格はないし、そのような市場で成功することは到底不可能だという結論になってしまいます。
それでも事業である以上、できる限りの客観的情報を集めて、事業計画を練りに練る必要がありますが、最終的には「主観的な判断」で決着をつけるしかないのです。
この最後の主観的判断を行う立場であることが、リーダーがリーダーたる所以であり、その立場でもって「客観的な情報」でしか判断しきれない本社を説得し、実行にこぎつけることが「海外で結果を出す」ことの重要な要素となります。
本書には、イオングループ名誉会長の岡田卓也氏とともにその前身である岡田屋をけん引してこられた卓也氏の実姉である小嶋千鶴子氏の「主観的判断」と「客観的判断」の二つに関する発言が収められていましたので以下、引用します。
*小嶋氏についてはかつてこのブログで「イオンを創った女」という記事を書いていますのでご参照ください。
「客観的とは、どこまでが確定的で、どこまでが不確定かという確定・不確定要素を冷静に分析できるということである。100%確定的であることはまずない。後の何%かは不確定なまま決断せざるを得ないのである。その不確定性に対して主観的判断が必要になる。主観的判断力とは、不確定性の部分に対してリスクを負えるという勇気である。不確実と知りながら一つの決断をするリスクに対して臆病でないということである。そのリスクを負って、なおかつ前に進もうというわけだから、そこには自分の覚悟なり信念がないと踏み込むことはできない。その意味で主観的判断の背景には、自分の心を強く揺り動かすだけの何らかの要素がなければならない。」
つまり、「主観的判断」は「勇気」と言い換えられそうなのですが、その勇気の源を本書では、「志」もしくは「ミッション」という要は「何をしたいのか」の部分だと言っています。
その「何をしたいのか」についてもう少し詳しく本書では書かれていましたので以下引用します。
「そのようなものは一般的には『大病』や『投獄』といったような究極的な経験によってしか得られないかもしれないが、私自身が日常の中で意識しているのは自分が何かに取り組もうとするとき、『もし打ち手が一つしか取れないとしたら何を選択するか』と自分に問いかける。どの一手を打つべきかを真剣に考えれば、その選択の精度は自然と研ぎ澄まされていくからだ。また、それに近いこととしては『やることリスト』を作るのでなく、『やらないことリスト』を真剣に考えて作ってみることも有効な手段だ。」
これまで三回にわたって「海外で結果を出す」ために何が必要かを見てきて、著者が「異文化を言い訳にしない」を本書のタイトルにした意味を心から実感できるような気がしました。









