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藤田田という人

2024年6月18日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

このブログでは今まで何度も、ソフトバンクの孫正義社長についてのニュースや書籍などを取り上げてきました。

その上で私が孫社長のことをたった一言で表現するとしたら、「経営者としてあまりにすごすぎて参考にすることが非常に困難」な人ということになろうかと思います。

それほどに、ぶっちぎりの人間の大きさを感じさせられてしまうある意味恐ろしい人といった感じです。

その日本経営史上最強ともいうべき孫社長が、まだ彼が何物でもなかった時代に「ある人」の本を読んで心から感動し、成功するためには今後何を学ぶべきかをアポなしで聞きに行き、何とか15分間の面談のチャンスをものにして、「これからの時代はコンピューターだ」というアドバイスを引き出したことから、彼の人生の快進撃が始まったというのは、結構有名な話です。

この「ある人」とはあのマクドナルドを日本に持ち込み日本マクドナルドを創業した 故藤田田(でん)氏なのですが、不覚にも今まで氏の著書を一冊も読んでいなかったことに気づき、取り急ぎアマゾンで目に付いた「頭のいい奴のマネをしろ」という一冊を読んでみました。

本書は1974年初版の「頭の悪い奴は損をする」をもとに語句・表記・時制の大幅な加筆修正を加えて再出版されたものです。

本書の冒頭には、「本作品中に、現在の観点から見れば差別とされる言葉・用語など考慮すべき表現も含まれておりますが、著者の作品が経営・ビジネス書の古典として多くの読者から評価されていること、執筆当時の時代を反映した著者の独自の世界であること、また著者は2004年に他界し、作品を改定することができなことの観点から、おおむねそのままとしました。」という但し書きが書かれています。

まずは内容云々のまえに、このような大人物であっても、正直に言ってずいぶんな表現が散見されており、この半世紀という時間がこの国における権利意識をこれほどまでに高めたという事実に、本論とは関係ありませんが、心底感心してしまいました。

とはいえ、本書の中には今においても背筋を正して聞くべき珠玉の言葉が多々あったことは事実です。

以下に、その中でも特に印象的だったものをいくつか引用します。

「高次元のノーアンサーより、低次元であっても『イエス』『ノー』をはっきりさせたほうがいい。『考えておきましょう』『前向きに考えます』『慎重に考慮してご返事します』などといったセリフは商売では何の役にも立たない。むしろ。転がり込んできたもうけ話を逃してしまうことにもなりかねない。そんな返事をするよりも、『やりましょう』『ダメです』『明日、必ず返事します』と言ったほうが、どれほど役に立つか分からない。」

「ただし、私は自分の即決がすべて正しいとは思っていない。中には間違っているものもあるだろう。しかし、間違っていることが分かったら、その時点で直ちに修正すればいいのだ。間違いは修正できるのだと考えるならば、即決を怖がる必要は全くない。修正は決して恥ずべきではない。」

「私は自分の意見を、これこそ最善の方法である、と押し付けもしないし、相手側の意見を最善のものとして押しいただくこともしない。ベストウェイというのは、双方の意見とは別のところにあるのではないか、というのが私の考えである。ディスカッションはそのベストウェイを見出すために行われるべきだと信じている。そこに企業の繁栄があるのだ。」

先の「現在の観点から見れば差別とされる言葉・用語など考慮すべき表現も含まれております」という注意書きを必要とするような「不適切」な表現が散見される本書ではありますが、ここに示したこれらの言葉は、どう考えても、この同じ「昭和の男」が発したものとは思えないほどに、洗練され、現代であっても十分に適切かつ新鮮な言葉でした。

藤田田という人は、間違いなく孫社長をして、現代の大人物足らしめるきっかけを作った人なんだと十分に納得することができました。

 

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