OK, Google!って言えない族
2018年5月14日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2018年5月6日)の日経MJに以下のような非常に興味深い記事がありましたのでご紹介します。
「『オッケー、グーグル。今日の天気は?』私たちの生活を豊かに変えると話題の魔法の筒、AIスピーカー。CMのようなイケてるやり取りに憧れる人も多いはず。一方で人知れずある悩みを抱える人が増えている。その名も『オッケー、グーグル。って言えない族』。『一人の時ならまだいいんですが、家族の前だと話しかけられません。』『ヘイとかオッケーとか気取った感じがする。』『一人でしゃべりかけているのがキモくて』など恥ずかしさを理由にする声が多い。」
この気持ち、私も結構分かります。
というのも、この「自分でも明確な理由が分からないけど、なんだか恥ずかしい」という感情は、英語教育業界にとっても結構根本的な問題だからです。
そうなんです。
この「オッケー、グーグル。」って恥ずかしくて言えない感情って、「日本人同士で英語を話す」のが恥ずかしいっていうあの感情ににているように感じるのです。
ランゲッジ・ヴィレッジを創業した今から14年前、私にとっては、日本人がどうしても持ってしまう「あの感情」を克服することが大きな課題でした。
なぜなら、国内留学という「朝から晩まで英語しか話さない環境」の中には、外国人とだけでなく、必ず「日本人同士でも英語を話す」ことがついて回るからです。
その際に、「日本人同士だからいいよね」というように例外的に日本語をオッケーにしてしまうと、「朝から晩まで英語しか話さない環境」自体がすぐに崩壊してしまうことが分かりました。
普通の社会では、「それくらいはいいでしょ」と思われるようなことも、「朝から晩まで英語しか話さない環境」を作ろうと思うと、それが致命的な問題となることを悟ったのです。
そこで私はこの問題を解決するために、かなり大げさに日本語撲滅作戦を展開することにしたのです。
例えば、コーヒーをこぼして、「アツっ」という反射的な日本語を発してもNGです。
そして、三回注意されても改善されない場合には、途中でお帰り頂くというルールを設けました。
こうなってくると、ランゲッジ・ヴィレッジで日本語で話すことが、「異常なこと」という共通認識ができてきます。
この日本語撲滅作戦の効果を明確に感じたエピソードがあります。
ランゲッジ・ヴィレッジに入校すると宿泊部屋もクラスのレベルも一緒の二人の方は、一週間ずっと生活を共にすることになります。
一週間の国内留学を終えて新富士駅までお送りするバスの中では、敢えて「お疲れさまでした。是非バスの中では日本語でお話しください。」と言うようにしています。
すると、皆さん一様にモジモジし始めるのです。
とても不思議なことですが、今まで英語しか話せなかった相手と日本語を話すのが「恥ずかしい」というのです。
でも、せっかく一週間も一緒にいたのですから、是非日本語でも交流してくださいと促すと、実は相手が関西弁だったということをその時はじめて分かってびっくり!ということがありました。
これは、ここまで徹底したからこそとありえたエピソードだと思います。
日本人同士が英語で話すことが恥ずかしいのではない、「日本語で話す」という「普段と違うこと」をするから恥ずかしいのだということが分かった瞬間です。
話の前提が長くなってしまいましたが、結論を申し上げます。
AIスピーカーに向かって「オッケー、グーグル」っていうことが恥ずかしいのは、AIスピーカーがまだ日本社会にいきわたっておらず、機械に話しかけるという動作自体が「普通」ではないからであって、これが一般化し、誰もが「オッケー、グーグル」と当たり前のように言うようになれば、解決するのかもしれません。