おすすめ書籍紹介

めざせ達人!英語道場 #298

2023年3月15日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

【書籍名】 めざせ達人!英語道場

【著者】  斎藤 兆史

【出版社】 ちくま新書

【価格】  ¥740 + 税

【購入】    こちら

このブログでは、できる限り「英語」を実践的に使えるようになるためのヒントとなるような書籍を紹介することを第一目標としています。

ただ、私自身、「高尚」で「まどろっこしい」英文に対しての苦手意識を自覚していますので、本当に時々ですが、多くの読者に嫌がられることは承知で、あえてそのような高いレベルに標準を合わせた書籍も紹介しています。

例えば、東京大学の阿部公彦先生の「英語文章読本」シリーズや翻訳家の越前敏弥氏の「日本人なら必ず誤訳する英文」などです。

今回そのラインナップに加えることとした本書の著者は、立教大学の鳥飼氏、慶應大学の大津氏、そして和歌山大学の江利川氏とともに「英語教育の番人」として何度もこのブログにも登場している東京大学の斎藤兆史教授です。

読み始めるとすぐに分かるのですが、非常に厳しい内容となっています。

実際に著者は、「どうやったら効率よく英語を学べるかと考えているうちは教養ある英語を身に着けることなどできない。無我夢中で英語学習に没頭する時期を経なければならず、そのような『三昧』の境地に長くとどまったものの中から、名人上手と呼ばれる人が出てくるのだ。」というなんともぶっきらぼうな指摘に終始しています。(笑)

とはいえ、その「三昧」の境地をより具体的に想像できるようにと、プロ棋士の糸谷哲郎氏の言葉を紹介してくれています。

「『どうやったら将棋が強くなりますか?』という将棋の訓練法に関する質問をされると答えに窮してしまう。その理由は、そんな方法があったらまず自分が実践しているというものだが、それ以上に自分がどうやって強くなったのか意識していないからというのも大きいだろう。子供のころ、夢中になって将棋を指した、棋譜ならべをした、もしくは詰将棋を解いた、などの積み重ねによっていつの間にか将棋が強くなっていたのだと思う。よって、将棋の訓練法としてこれが一番良い、というものは存在しないと思う。個人個人の好みと力量に合わせて、実戦だけでも、また棋譜ならべや詰将棋に偏っていてもよいが、とにかく熱心に毎日行うことが、上達する秘訣だと思う。(一部加筆修正)」

本書は、「読解(単語・文法)学習」「聴解学習」「作文・会話学習」「実地学習」に分けて、上記の将棋の訓練法よろしく、ある程度の自由度を持たせながらも、強い負荷であることを前提としながらあきらめないで続けることを要求する内容になっています。

時折、こんな歯に衣着せぬ指摘とともに。

「文法を気にせず、英語をシャワーのように浴びて、自由にのびのびとコミュニケーションを図るのが良いと説く指導者もいる。だが、小学校英語を専門とする英語教育学者をはじめ、そのようなことを言う指導者の中で教養のある、高度な英語を操る人を見たことがない。」

覚悟を持った読者しか想定していない、近年まれにみる王道の書です。

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