
英語教育の危機 #177
2018年1月26日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【著者】 鳥飼 玖美子
【出版社】 ちくま新書
【価格】 ¥780 + 税
【購入】 こちら
著者はこのブログでおそらくもっとも紹介回数が多いであろう立教大学の鳥飼先生です。
それだけ私は鳥飼先生のお考えに信頼を寄せているわけですが、その鳥飼先生も現在の学校教育の改悪ぶりについてはもはやどうしていいのか分からないところまで来ているようでした。
鳥飼先生のやるせなさが感じられる一方で、まだ希望を完全には捨ててらっしゃらないぎりぎりの感情が、本書のまえがきの冒頭一文に表れていました。
「英語教育改悪がここまで来てしまったら、どうしようもない。もう英語教育について書くのはやめよう、と本気で思った。それなのに書いたのが本書である。」
前回ご紹介した「史上最悪の英語政策」の阿部公彦先生もそうでしたが、英語教育の本質をとらえた学者の多くが「完全に理屈に合わない」「100%失敗する」と口をそろえて反対の主張をするのですが、当局はもちろん、世の中も一向にそれらの声に耳を貸そうとしない現実があります。
その現状に抗うため、具体的な学習指導要領の一つ一つの問題に踏み込んで書かれているのが、今までの著作との大きな違いです。
文責:代表 秋山昌広