世界「倒産」図鑑
2021年12月6日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
今回は世にも珍しい「図鑑」のご紹介です。
その名も「世界『倒産』図鑑」といって、世界中で様々な理由で倒産した25社の事例を集め分析をしたものです。
冒頭で「世にも珍しい」と表現しましたが、日本だけでも2019年度の企業倒産(負債額1,000万円以上)件数が8,631件あり、「倒産」という事象はそれほど珍しいものではありません。
にもかかわらず、それらは実際には私たちの目にはあまり触れることがなく、結果「世にも珍しい」状態になっています。
「倒産」は企業経営における「失敗」であり、このブログでも「失敗の科学」という記事を書いたように失敗から学ぶことの重要性は明確なものであり、本来は検証の対象として多くの人々の目に触れるようにすることが大切なはずなのにです。
このことについて本書では以下のようなことを理由としてあげています。
「企業の成功事例についてはハッピーな話なので関係者はみんな語りたがり、その結果ケーススタディなどで取り上げられやすい。しかし、失敗事例はその逆で、責任問題やステークホルダーとの関係などがあり、語りづらいことばかりで、そうはなりにくい。」
まあ、その通りでしょうね。
ただ、そうはいっても失敗から学ぶことができることの大きさを考えれば、この理由が正論であることに負け、それらを放置することに伴う損失は大きすぎると思います。
本書は、公開情報に限定されてはいますが、25件というある程度まとまった数の「倒産」ケースをその大きく5つの原因(「過去の亡霊」「シナリオの脆弱さ」「焦りからの逸脱」「大雑把な管理」「組織の機能不全」)に分けた上で分析しています。
「企業の成功はきちんとした理由がなくても十分起こりうるが、企業の失敗は必ず理由が特定できる」
という言葉を聞いたことがあります。
だとすると、ケースとして学ぶことに対する効果が大きいのはむしろ「倒産」の方だという著者の考えこそがド正論だと思います。