社員の声、聞こえてますか?
2023年1月25日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2023年1月23日)の日経新聞に「社員の声、聞こえてますか?目覚めるシャインたち」という非常に興味深い記事がありました。
以下、記事を要約します。
「社員の力を引き出す『最高の職場』とは何か。米カリフォルニア州にある約120人のウェブサイト構築会社、クライアントブーストは米国の最高の職場ランキング2022年版で中小部門1位に輝いた。創業者、ジョナサン・デインさんの原点は半導体メーカーなどに勤めていた母の『職場のおかしな点を上司に伝えているのに何にも聞いてくれない』という嘆きだ。すぐに実行できそうな改善案すら採用されず、現場の活気は失われていった。数々の『最低の職場』を反面教師にデインさんが誓ったのは『役職の上下に関係なく意見を奨励すること』。同様に部下に『自由な意見』を求めて空振りに終わる日本企業は多いだろう。不安なく率直に発言できる『心理的安全性』の実現は簡単ではないとデインさんは言う。『社員には解雇や報復をされるのではという恐怖がある。声を上げてくれた勇敢さをたたえ、会社のカイゼンにつながっていると行動で示し続けたのです。』例えば『納期をもっと短くすべきだ』といった訴えを重く見たデインさんは『7日間チーム』の創設案を投げかけた。3カ月かかる新規顧客向け施策を、10倍速の1週間でそろえるプランだ。『3カ月を1週間に! 燃え尽きちゃわない?』『しっかりした工程表が要りますね』。社員たちは再び率直な意見を寄せ、共に改善策を探る。自分の声が生かされる実感が責任感を生む。提案は今や月に50〜100件。年間経常収益は2年で2倍の2200万ドル(約30億円)に膨らんだ。」
本記事には、「いい職場」「悪い職場」の違いに関して、就職・転職サイトを運営するオープンワークによる分析の結果を載せています。
その分析とは、約3400社の上場企業に対する約1400万件の口コミからそこに出てくるワードの出現頻度を評価の上位5%と下位5%を抽出するというもので、その結果を可視化したものがこちらです。
◆上位5%
◆下位5%
記事は続きます。
「上位5%で最も多いのは『共感』だ。『フラット』『自由闊達』と共に壁のない職場を想起させる。下位5%は『ワンマン』『イエスマン』など閉塞感が漂う。成長力の差は鮮明だ。上位と下位、それぞれの21年度の純利益合計額を3期前と比べると、前者は7.7%増え、後者はマイナス2.4%に沈む。産業革命以来、会社は工場労働に適した上意下達型が主流だった。経営学者フレデリック・テイラー氏の『科学的管理法』のように、生産性向上のため労働者を機械のごとく扱うこともあった。ただ、先の見通せない時代には企業価値の源泉が人の創造力に移る。」
私などは経営者の立場から「仕事中はもちろん、休みの時だって家族旅行の時だって常に何かしら会社のことを考えている」という自負が強いため、「(そうして絞り出した)自分のアイデアは仕事とプライベートを分けられる社員が束になっても負けないはず」と心の奥でどうしても思ってしまいがちです。
しかし同時に、「先の見通せない時代には企業価値の源泉が人の創造力」だというのも頭では分かっています。
一人の頭でずっと考えるより、多くの違う頭で少しずつ考えたほうが「多角的」であり、そこから出されるアイデアは「多様性」を有しているはずで、「先の見通せない時代」には確実に有利に働くはずですから。
であるならば、会社にとっての最善は、社員の「自分の声が生かされる実感が責任感を生む」環境をいかに作り出すかということに尽きると理解します。
そしてそれは、「従業員が経営者と同じ分量で会社のことを考える」ことを期待するのではなく、「『思い』を共有できる社員を増やしてその力を結集し、経営者一人の力よりも圧倒的な力を手に入れる」ことを実現することなのだと。
「もの言う自由で全てが解決するわけではない。ただそれは、会社と社員が自らの価値を問い続ける原動力となる。」
という言葉をかみしめたいと思います。