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人生を変える80対20の法則

2023年7月5日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前に、「英語を話すことはすてること」のブログ記事の中で、「『成果や結果の8割はその要素や要因の2割に基づく』という一般法則である『パレートの法則』」について取り上げました。

この法則は、本書に限らず私のブログで取り上げた書籍の多くで参照されている非常に汎用性の高い法則で、一度しっかりと体系的に学んでみたいと思っていました。

そこで見つけたのが、「人生を変える人生を変える80対20の法則」というそのものずばりのタイトルの一冊です。

冒頭の記事の中で著者は、「2割の語彙で8割の事柄を表現できてしまう」、すなわち「英語を話す」という目的を達成するためには、8割は捨ててしまってもよい、いや効率的な学習のためには捨てなければならないということを伝えているのですが、本書にはビジネスにおいてこの法則が活用されている具体例として次のようなものを挙げていました。

「IBMは、1963年にコンピューターを使う時間の約80%が全機能の約20%に集中していることに気づいた。そこで直ちに、頻繁に使われる20%の機能がユーザーにとって使いやすくなるようにOSを書き換えたところ、コンピューターと言ったらIBMと言われるほど多くのユーザーを獲得するに至った。その後もアップルなどの新興企業がこの法則を生かして、製品価格を下げ、使い勝手を良くし、ユーザーを広げていった。その結果、それまでコンピューターと聞いただけでしり込みしていた人たちまでコンピューターを使うようになった。」

つまり、「『アウトプット』のほとんどは『インプット』のごくごく一部から生まれる(かならずしも80:20という数値になるわけではない、それはアウトプットの80%:インプットの10%かもしれないしアウトプットの100%:インプットの1%だってありうる)」という、今では製品開発など多くの分野で活用されている法則となったこの「パレートの法則」は、イタリアの経済学者ヴィルフレッド・パレートによって発見されました。

しかしながら、事実としての「パレートの法則」を発見した彼は次にこの法則がなぜ成り立つのか、その背景にある「意味(理由)」の発見を目指したようですが、75歳で亡くなるまでに万人を納得させる理論を構築することはできなかったようです。

以下、彼の死後、20世紀の最後の30年余りの期間になって明らかにされたその「意味(理由)」について、できる限り分かりやすくまとめてみたいと思います。

基本的に、「パレートの法則」の背景にある「意味(理由)」は、19世紀後半から様々な研究者たちによって段階的に発展させられ、1970年代になって確立された「カオス理論」によって、「初期値に対する鋭敏な依存性」および「フィードバック・ループ」という考え方で説明されるようになりました。

「初期値に対する鋭敏な依存性」とは、50:50の均衡は自然に任せるとすぐに崩れ、一旦51:49になれば後は重力の法則に従うかのように不均衡に進んでいくというもの。

そして、「フィードバック・ループ」とは、最初はごく小さな動きだったものが、次第にその影響力を増していき、最後には予想もできなかった結果をもたらすというものです。

逆に、これらが存在しなければ、一定頻度のインプットはそれに見合ったアウトプットをもたらすわけで、あらゆる現象の自然な分布は原因50:結果50になるはずなのです。

本書では以下のような具体例をそれぞれ挙げています。

◆初期値に対する鋭敏な依存性

「最初はごくわずかなリードでもその差はどんどん広がり圧倒的になり、均衡が崩れる。市場にいち早く参入し、競争相手よりも10%優れた製品を発売した企業は、仮に他社が後でもっと優れた製品を開発しても、圧倒的な差をつけることができる。例えば、自動車の大衆化が幕を開けたとき、ドライバーの51%が道路の右側を走ろうと決めたら、100%右側通行になる。針のある時計が使われ始めたころに、時計の51%が右回りになっていれば、右周りの時計が主流になる。もちろん、左回りでも一向に不便はなく、実際、フィレンツェの聖堂の大時計は左回りだが、その聖堂が建てられたすぐ後に、市当局と時計製造会社が一回り12時間の右回りを標準に定めた。なぜなら、その時点で半分以上の時計がそうなっていたからだ。」

◆フィードバック・ループ

「大きさに大差ない複数の金魚を池に離しても、時間が経つにつれて最初はわずかだった体格差がどんどん広がっていく。泳ぐ力と口の大きさにほんの僅かでも差があれば、少しでもたくさん餌をとることができる金魚の体が大きくなり、それにつれて一段と泳ぐ力が付き、ますますたくさんの餌をとれるようになり、その金魚がますます大きくなっていく。」

「パレートの法則」の存在を知っている私たち現代人のやるべきことは、多くの分野にこの法則が成り立つことを前提として、その生産性が低い20%の原因を突き止め、そのインプットをやめること。

もしくは、生産性の高い原因を研究してそれをお手本とすることで生産性の低い部分の生産性を高めることです。

いずれにしても、この「パレートの法則」は人類にとって非常にありがたい存在であることは間違いありません。

 

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