代表ブログ

英語入試の混乱再び

2022年10月23日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2022年10月19日)、2022年11月27日に実施予定の東京都立高校の英語入試に関して都庁にて「反対会見」が開かれたとのニュースがありました。

英語の入試の実施が問題視されるのは大学入試の「英語の共通試験への民間試験導入問題」に続いてということになります。

以下に当該ニュースを要約します。

「2022年11月27日実施予定の都立高校入試の合否判定に使われる英語スピーキングテストを巡り、英語教育や統計学の専門家らが19日、都庁で記者会見し、テストを受けられない生徒に入試の筆記試験の点数をもとに『みなし』の得点を付与する仕組みについて、一部の生徒に不利に働く可能性があるとする独自の検証結果を公表した。入試での使用中止を求める要望書を14日付で都教育委員会に提出したことを明らかにした。また、そもそも当該テストはベネッセコーポレーションと都が共同で実施予定であり採点はフィリピンで行われることから採点の基準があいまいで、能力を正当に評価できるのかなどと異議が出ていた。外国人(フィリピン人)が、受験生が話した音声データを提供されて、ある一定の基準で評価するというのは仮に専門家であっても極めて難しい作業であるためだ。一方で都の教育委員会は採点について高度な英語力を有し、基準を満たした人のみが行うことなどを理由に、公平、公正性は確保されると反論。予定通り実施するとの構えだ。」

このニュースに接した私の感想としては、この反対会見がなされたということは民間試験導入が中止されたことの反省が全くなされていないということが明らかになったということであり、「またか、、」という何とも残念なものでした。

とはいえ、旧態依然とした入試ではこれからのグローバル社会で活躍する人材を育てることができないため、「民間試験」や「フィリピン人によるスピーキングテスト」を導入するのだという国や都の考え方は一見理が通っているように思えるかもしれません。

しかし、私が今まで何度も書いてきた「民間試験導入」への反対の記事を読んでいただければお分かりいただけると思いますが、この問題はそのような「大改革」は「民間試験」ならば50万人、今回の「スピーキングテスト」なら8万人というあまりにたくさんの受験生を一度に受験させるような試験にそれを導入することは極めて不適切だということです。

そもそも、「コミュニケーション能力」というのは極めて「パーソナル」で「ミューチュアル」な活動です。

それを本気で測定しようとしたら、それは面接という形でしなければならないのです。

しかしながら、以下の解説動画を見ていただくとよく分かりますが、このテストはスピーキングテストといいながら、「パーソナル」と「ミューチュアル」のどちらも満たしていない、「全体的」で「一方的」なものです。

この件については、私は「SEACTテスト」という極めてパーソナルでミューチュアルな試験をフィリピン人の協力を得て実際に運用しているからこそ誰よりも強く主張したいと思っています。

そもそも50万人や8万人という数の人間を一度の試験で捌くこと自体、世界的に見れば異常なことだと思うのですが、それでも大量の受験生をある程度のふるいにかけるという意味合いで行うのであれば、それなりの存在価値はあるでしょう。

そして、その意味で実施するのであればそれは、多少の改良はあったとしても今までのような「公平性」と「比較可能性」の高いテストを実施するしかありません。

そのようにして大きく振り分けた後、各学校において抱えているそれらに精通した「教員」によって、自校が求める「能力」のイメージを明確にしながら、「面接」でもなんでも行えばいいのです。

もし、そんなことも各学校側のリソースでできないのであれば、彼らが入学した後にその分野の力を伸ばすことなど期待しようもないと思うのです。

「民間試験の中止」によってこの種の議論にある程度のケジメがついたものと思っていたのに、再びこのような本質からずれた議論を見せつけられ、絶望的な気分になってしまいました。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆