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中小企業の存在意義

2022年11月6日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

だいぶ前になりますが、デーヴィッド・アトキンソン氏の著書「国運の分岐点」をご紹介して、彼の「日本の低生産性の元凶は中小企業の統合が進まないことにある」という主張に対して、彼の論理的な分析に対しては高い評価をしながらも、中小企業の存在自体を否定すること自体に反発を覚えたことを正直に書きました。

ただ、私がそのように反発するということは、実際に中小企業の多くが低生産性に甘んじているという「現実」に対して、「中小企業」であること自体が「低生産性」の直接的原因、すなわち両者に直接的因果関係があるのではなく、相関関係にあるに過ぎないことを明らかにしなければならないという義務を負うことでもあると自覚していました。

もしその義務をはたせたのなら、中小企業でありつづけながらも高い生産性を生み出すという方策も確保できるし、自分自身が中小企業に身を置く人間として、それを認めてしまったら自己否定になってしまうという事態からも逃れることができます。

こういった流れから、以前にその反論を後押ししてくれるであろう「会社がなくなる」という元伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏の本から彼の次の考えをご紹介しました。

「『生産性』の問題は大企業・中小企業という企業のサイズの問題ではなく、『価値』を作り出す根本の部分をどれだけのコストで実現できているのかという『費用対効果』の問題である」

このような丹羽氏の見方を知ったことによって、「中小企業」と「低生産性」との間に直接的「因果関係」はないということは確認できたのですが、事実として多くの中小企業に低生産性の問題が多く起きているという「相関関係」が存在することの説明はなされていませんでした。

そんな中、その説明になりうるような記事を昨日(2022年11月5日)の読売新聞夕刊の「よみうり寸評」にて見つけましたので、以下重要な部分を引用します。

「昭和の昔、日本経済を石垣に例えた当時の日本商工会議所会頭、永野重雄を思い出す。大中小の石が組み合わさった石垣のように大企業と中小企業が補完しあうのが強みと唱えた。いまはどうか。歴史的な円安が続いている。直接の要因は日米の金利差だが、根っこには国力の低下があろう。技術や販路を補い合って成長を支えていたのが、下請け元請けの硬直した関係に変質したこともひびいたのではないか。

最初は大企業が販路を拡大するべく奔走し、中小企業が自身の技術の向上を最優先にするという「補完関係」が成立していたのに、中小企業はいつからかその安定に甘んじて、技術の向上をおろそかにしてしまい、「硬直関係」へと成り下がってしまったのではないかという厳しい指摘です。

その様な指摘を受けた上でもう一度丹羽氏の言葉を振り返るとやるべきことがより明確になるような気がします。

「企業のサイズの問題ではなく、『価値』を作り出す根本の部分をどれだけのコストで実現できているのかという『費用対効果』の問題である」

私自身、中小企業の存在意義について改めて考えさせられる機会となりました。

 

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