英語に強くなる本 #203
2018年12月16日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【著者】 岩田 一男
【出版社】 ちくま文庫
【価格】 ¥900 + 税
【購入】 こちら
#202「プロフェッショナルイングリッシュ」の巻頭で監修者である大前研一氏が以下のように本書を紹介していました。
「これからは、英語が不可欠だ。そういわれ始めてから、はたしてどれだけの時間が経っただろうか。発売からわずか3カ月で100万部を突破した昭和のベストセラー『英語に強くなる本―教室では学べない秘法の公開』の刊行は1961年。多くの日本人が英語の必要性に気づいてから、少なくとも半世紀たった計算になる。」
今、本屋に行けば英語関連書籍はもうどこから手を付けてよいか分からないほど豊富に並べられています。
まさに現在が空前の英語書籍全盛期とも呼べるような状況になっているわけですが、それでも英語関連書籍で「発売からわずか3カ月で100万部を突破」というようなものは存在しませんし、いまだかつて存在した事実も知りませんでした。
そこで、「発売からわずか3カ月で100万部を突破」というようなお化け書籍がどのようなものだったのかに興味を持ち、すぐに読んでみることにしました。
すると、読み始めてすぐに昭和のベストセラーの威力を感じさせられる部分を発見したのでした。
それは、日本人の多くが大学まで10年間も英語を勉強しているのに、「ここはどこですか?」「足元にお気を付けください。」「はい、ここにあります。」「(トイレをノックされて)はいってます。」「もういいかい?→もういいよ」といった基本中の基本の表現についても英語で言うことができないことを問題提起している部分です。
実は、私の著書「富士山メソッド」においても、この生活表現についての弱さというものが、日本人の英語の弱さに直結しているという指摘をしていますので、50年たっても日本の英語教育が根本の部分で向上していないという事実に愕然としました。
確かにその事実には愕然としたのは事実ですが、私が「昭和のベストセラーの威力」を感じざるを得なかったのはそこではありません。
それ以上に威力を感じてしまったのは、それらの例示が、いままで私が生きてきた中で、英語を職業にしている人、そうでない人に関わらず、ある年齢以上の方々によって、何度も何度もいわゆる「こぼれ話的」要素としてこれ見よがしに披露されてきたことを思い出したことでした。
「足元にお気を付けください。」→ Take care of your feet. × Watch your steps. 〇
「(トイレをノックされて)はいってます。」→ I am inside. × Someone in. 〇
そうです。
そのころ少しでも英語に興味があった今のおじ様、おば様たちは、みんなこの本を読んでいたんだ!ということに気づかされたのです。
逆に言えば、その問題の存在に多くの人が気づいたはずなのに、日本の英語教育が根本の部分で50年たっても向上していないということになります。
私は、この問題の根深さを改めて感じ、自らの使命を再確認した次第です。
文責:代表 秋山昌広