英文解釈における「省略」
2022年10月27日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「英文解体新書」について、第一回目で「英文解釈が難しい理由」を明らかにし、第二回目からそれらについて具体例を挙げていますが、第三回目のテーマは「省略」です。
以下に、本書における著者の言及部分を引用します。
「省略とは原則として、文脈上明白である内容や分かり切っている情報について効率化のために表現を省くというものです。言い換えれば、本来あるはずのものが消えていることになるため、受け手はそのことを理解し、省かれているものを補って解釈しなければなりません。省略が問題となるケースの中でも特に難しいのが、主にandやbutといった等位接続詞を中心に構成される並列関係における省略と、比較構文における省略です。」
この説明では、「文脈上明白である内容や分かり切っている情報」と書かれていますが、これはネイティブスピーカーにとってはその背後に十分な文脈の共有があるためそうかもしれませんが、私たち日本人にとってはその共有がない、もしくは薄いためにこの問題が生じるのです。
では次に、上記の二つのケースごとに具体例で説明します。
①並列関係における省略
Some speak English and others Japanese. (othersの後にspeakが省略されている)
「何人かは英語を話し、それ以外は日本語を(話します)。」
これくらいですと日本人にとってもかなり文脈の共有はなされていると思われます。
②比較構文における省略
It couldn’t be better.(最後にthan It isが省略されている)
「状況が今現在そうであるものよりもさらに良くなることは(どんな仮定をしても)あり得ない。」
I couldn’t agree more. (最後にthan I doが省略されている)
「私が今賛成しているよりももっと賛成することは(どんな仮定をしても)できない。」
こちらになると、前者はできても、後者は?という方も出始めるでしょう。
やはり、この難しさは「省略」自体の難しさというよりも文脈の共有の濃さの問題かと思います。