チャイナ・アセアンの衝撃
2021年6月27日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
このブログでは今まで何度か「中国に対する日本の低評価」に関する記事を書いてきました。
その中で私が訴えてきたことは、日本人は中国・中国人に対する「バイアス」がかかりすぎていて、今の世界の中に置ける中国の存在を冷静に見ることができていないという事実です。
また、東南アジア諸国に至っては、眼中にないと言わんばかりの人も少なくないことがいつも気になってきました。
今回は、そのバイアスを取り払うために有益だと思われる「チャイナ・アセアンの衝撃」という本をご紹介します。
この本を手に取ったのは、国際協力銀行を経た上で現在デロイトトーマツという金融とコンサルのそのいずれでも中国と東南アジアとのかかわりの中で活躍されているという著者の実績と、そのサブタイトルに「日本人だけが知らない巨大経済圏の真実」という私の問題意識にぴったりのテーマが書かれていたという二つのポイントからでした。
実際に本書を読んでみると、私自身はどちらかと言えば「バイアス」なく中国や東南アジアを見ているつもりでいたのですが、しかし現実はその認識をはるかに上回るものでした。
というのも、中国については、国家としてのGDPがすでにアメリカの7割程度となっており、2028年には逆転するという予測があることは結構知られていることではありますが、それは国全体としてであって、一人当たりGDPで見ればまだまだだの「はず」だという認識でした。
しかし、本書では、都市別の一人当たりGDPとして、人口が深圳は3万ドルで、日本の4万ドルに迫りつつあるという事実が明らかにされています。
しかも、深圳はまだまだ成長しているため、2025年には3万6000ドルになる予想され、それ以外の都市も、蘇州で同じく3万6000ドル、広州や南京で3万2000ドルと予想されており、その差はこれからどんどん縮まっていくことが明らかです。
したがって、私自身にも「バイアス」は確かにかかってたということであり、一人当たりGDPでも認識を改める必要があることが分かりました。
また、東南アジア諸国(ASEAN)についても、2030年にはそのGDP(厳密には国の集まりなのでGDPとは言えないかもしれませんが)が日本を超えることがかなりの確率で予想されているという事実が明らかにされています。
そして、この東南アジア諸国が、米中対立から距離を置きながら、超大国中国と政治的対立がある中でも経済的実利を選びつながりをどんどん強めていくという姿勢が強まっており、その勢いはこのコロナ禍においてより高まっているようです。
このようなアセアン諸国のスマートな立ち振る舞いを見ると、アジアにおいて私たち日本人だけがいつまでも「中国脅威論」のみに縛られ続けることのリスクを再認識せざるを得ないように感じます。
いや、それよりなにより、このような認識すらできずにいた私たち日本人が、ついこの間まで自らのことを「アジアの盟主」と勝手に思い込んでいたことが、とても恥ずかしく思えてきました。